ぶみ

窓辺にてのぶみのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
3.5
たとえ、パーフェクトじゃなくても。

今泉力哉監督、脚本、稲垣吾郎主演によるドラマ。
妻の浮気が発覚したものの、怒りが湧かないことに悩む主人公等の姿を描く。
主人公となるフリーライター、市川を稲垣、妻を中村ゆり、高校生作家、久保を玉城ティナ、市川の友人でプロスポーツ選手の有坂を若葉竜也が演じているほか、志田未来、佐々木詩音、倉悠貴、穂志もえか、斉藤陽一郎、松金よね子等が登場。
物語は、悩みを抱える市川を筆頭に、久保や有坂の恋愛模様や人間関係が会話を中心とした群像劇として描かれていくが、まあ何はともあれ、市川を演じた稲垣の自然体の演技が際立っている。
それもそのはず、監督が稲垣を主演として当て書きしたとのことであり、稲垣を含め、全ての登場人物が発する言葉に台詞臭さが一切なく、自然な会話となっているのは、まさに監督の真骨頂と言ったところか。
他に高校生作家で彼氏のいる久保や、こちらも浮気をしている有坂が描かれるが、とりわけ、稲垣と同世代の私としては、仮に妻が浮気をしていたとしたら、どんな感情が芽生えるのかに思いを馳せた次第。
反面、実年齢が二十代半ばの玉城の高校生役は、作家という大人びている設定ではあるものの、流石に厳しかったかも。
作中で「チーズケーキの方が、ある種パフェ」と語られるパフェの件が思いのほか深く、淡々と繰り広げられる長回しを多用した会話劇に自然と見入ってしまうとともに、若葉演じる有坂が、結局何のスポーツ選手だったのかが気になってしょうがない一作。

書くと過去になってしまうから。
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