編集者をしている妻が担当作家と浮気をしていることを知りながらも、自分の中に芽生えた"ある感情"に思い悩むが故に、言い出すことができないフリーライターの主人公と、彼を取り巻く人々が織り成す大人のラブストーリー。
冒頭のカフェのシーンの映像ですぐに、『あっ、今泉監督っぽいな。』と感じました。そして、やっぱり面白い！いつもながらの素晴らしい会話劇でした。
ひとつひとつの会話が丁寧で心地良い。
なるほどなと思ったり、ハッと心に刺さったり、クスッと笑えたりする台詞がたくさん散りばめられていました。
冒頭のシーンがラストシーンに繋がり、伏線が回収されていく演出も秀悦でした。
作品を観る前までは、『今泉監督の作品に稲垣吾郎さんて合うのかしら？』と思っていたのですが、独特の空気感や佇まい、心のない感じが当て書きなのかと思うほどピッタリでした。
監督の地元郡山で先日開催された講演会に参加した友人によると、監督は映画作りのこだわりとして、"日常を描くこと"、"ハッピーエンドにしないこと"と語られていたそうです。
今作もしかり、どの作品も典型的なハッピーエンドではありませんが、鑑賞後はいつも、作品の登場人物たちの今後の人生を応援したくなるような温かくて優しい気持ちになれるのも今泉監督マジックですね。
