かかか

窓辺にてのかかかのネタバレレビュー・内容・結末

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

妻の浮気を知って悲しめない自分は感情の乏しい人間なんだと悲しむ茂巳 だったけど、
妻のことを本に書かずに過去にしないところや、
義母の家に通い温かい写真を撮るところや、
感情のない自分と妻を付き合い続けさせないために別れる選択をするところなど
自分ですら気づけないくらいの隠れんぼしている些細な愛がちゃんとそこにはあったのでは と思って、
本人ですら気づけないから、そんなの妻に伝わるはずがなくて、
そこで妻は自分の存在意義を確かめる為に、
自分の愛を求めてくれる人との関係を続けてしまう
本当はただ、茂巳に必要とされたいだけなのに
そこに男女の人間関係の究極のすれ違いを感じて少し切なかった。

その、優二の言葉を借りればSFみたいな(笑)
もつれてしまった恋と
高校生カップルの微笑ましい純粋な恋の
対比が良かった。


競馬やパチンコの話や、ナツの「私は複雑な恋はしたことない〜」などクスッと笑ってしまうシーンもあり楽しかった。
確かにパチンコは最高の贅沢なのかもな、、、


「人と人は信頼しあうことでしか繋がれない」
という言葉の温かいような突き放してくるようなキレの良さが印象的だった。

どうしても信頼することは難しくて、人の心なんてその人にしか分かりようがないし、
信じた先の裏切りほど恐ろしいものはないから、
この人は本当に私の事を好きなのだろうかと疑ってしまう
それでも繋がり合いたいのであればリスクを背負ってでも、まずは信じるという事の大切さを考えさせられた。

他の方のレビューにもあるように、全体的に長回しのカットが多い印象だったが、その画が綺麗で、出てくる言葉も詩的で、ゆったりと流れるような時間が心地よくて、内容は少しドロドロしてて決してハッピーエンドでは無いのに、不思議とほっこりとする映画だった。
かかか

かかか