TaiRa

窓辺にてのTaiRaのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
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吾郎ちゃんに当て書きしてるだけあってハマりが良い。感情凪人間なので一定の共感も。

このタイトルにした上でちゃんと窓からの光が綺麗に見えるのは律儀で好き。基本的に天気が良い映画。公園の場面もそれだけで良い場面に見える。風にそよぐ青々とした木々に陽光、ブランコと身の上話。稲垣吾郎の吾郎ちゃん性の活かし方も上手かった。本当に思ってるのか怪しい相槌とか。完全受動性の生き物としての異物感。何も考えていないような、考えているような。玉城ティナは今を生きる若さと溢れ出る生命力がちゃんと魅力的だし、良い対比にもなる。おじさんと女子高生の同居する空間に生々しさが生じないある種の清潔さにも無理はない。生き物として別物だから交わる気配も感じない。中村ゆりの気だるエロとでも云いたくなる佇まいも良かった。終盤にある夫婦の会話を見つめる長回しも、二人の放つムードがちょっとしたホラー風味を醸してるのが良い。他者を作品に書くことの話でもあるけど、終いにはこの主人公また本書けちゃうなとも。だとしたらそれが『窓辺にて』になるのかもしれないな。ひとり空気階段みたいなタクシーの運ちゃんとかパチスロの姉ちゃんとか、そこら辺の人々の生き様に美しさを見出していた。
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