タカシサトウ

窓辺にてのタカシサトウのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
4.4
 今泉監督の「愛がなんだ」「街の上で」に続いて観る。

 今泉監督の作品は、会話している二人の“間”が絶妙な気がする。それが、却ってリアリティを生んでいるように思う。

 主人公の茂巳(稲垣吾郎)を巡る、人間模様で、作家の留亜(玉城ティナ)との近づき方は、いい関係を築けたし、マサ(若葉竜也)とゆきの(志田未来)の夫婦との関りも悪くない関係だったと思う。

 問題の妻の紗衣(中村ゆり)が不倫しているにも関わらず、腹が立たない、という関係は、文字にすると身も蓋もない。でも、あて書きされたという稲垣吾郎がやると、ぴったりだと思うし、もしかするとありうるかもと思ってしまう。この物語全体の受け手である茂巳がかなり懐が深く、他の人達とはかなり安定した距離だった
(稲垣吾郎は、あて書きされたこともあり、かなり、素でやったそうだ。貫禄あり、その雰囲気がかなりよかった)。

 茂巳は、紗衣に対して、ある種の諦念と、聞いた話だが、自分の思いを小説の中にだけ閉じ込めてしまい、それを紗衣を手放すことによって、お互いを解放する的な所なのでは(2023.8.4)。