ハレンチ学園在学生

窓辺にてのハレンチ学園在学生のレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
3.7
中村ゆり見たさにDVD購入。一昨年の公開時にどういうわけか見るタイミングを逸してしまいようやく鑑賞。
稲垣吾郎が「え?」と問い返すシーンが何度も出てくる。不意打ち、疑問出し、確認さまざまな要素があるわけだが、この「留保」の姿勢が稲垣演じる茂巳という人物を措定する。決定を先延ばしにすること。茂巳は妻の中村ゆりが担当する作家と不倫をしていることを知りながら、何の感情もわかないことに悩む。作劇的にそのままで済むわけもなく、二人の何気ない会話のうちにその事実を伝えることとなる。ふつうは修羅場になるところで事実中村ゆりは若干気色ばむが決定的な破局は訪れず会話は終わる。うっかり見ていると世の中の大半の恋愛にはカタルシスなど存在しないように思えてしまう。その夫婦間のドラマを軸にもう一方で若い作家の玉城ティナと稲垣との、物書き同士の感性のつながりがある。かつ玉城とその恋人との、稲垣の友人のスポーツ選手とタレントとの不倫があり、男と女の関係が入り交じる。そういうことのすべてがまるでトレンディドラマ然とした嘘くささを感じてしまったのだったが、稲垣を中心に描く会話劇は彼の醸し出す雰囲気とも相まって自然に受け止められ、不思議な感覚だった。