ムーミーコロコロ

3人のキリストのムーミーコロコロのレビュー・感想・評価

3人のキリスト(2017年製作の映画)
4.2
社会心理学者のミルトン・ロキーチが妄想型統合失調症患者に対して行った心理実験の記録を基にした研究書『イプシランティの3人のキリスト』を題材に、自分がイエス・キリストだと信じる3人の患者と精神科医との交流を描いたドラマ。

3人のキリストはもちろん、治療に当たる医師や助手、それぞれが心に傷を負う人たち。治療を進めていく中で、それぞれの傷が明らかになっていきます。

その時代の治療法といえば電気ショック、薬物投与などの人権を無視した方法しかなかったということで、画期的な治療法は受け入れられませんでした。様々な妨害に遭いながらも患者との精神的なつながりを大切に治療を進めていきます。そして、患者は誰の目にも映るほど変わっていきます。でも、ここで決定的な妨害。その原因は個人的な出世欲でしかない。
そんな身勝手さのために全てが壊されていきます。それを見るのはあまりにも辛く、思わず涙がこみ上げてきました。


この作品は、統合失調症患者を治療した医師の話ではありますが、そこに流れる深い友情の話でもあります。お互いの友情でそれぞれが持つ傷が癒やされていったのだと思います。