マッシモ

3人のキリストのマッシモのレビュー・感想・評価

3人のキリスト(2017年製作の映画)
3.8
リチャード・ギア主演の精神科医のお医者さんが統合失調症で自分をキリストだと言い張る3人の患者を集めて実験的に治療を試みる、なかなかに見応えのある一本。

【キャスト】
[ドクターと助手]
アラン:リチャード・ギア
ベッキー:シャーロット・ホープ

[キリスト達]
ジョゼフ: ピーター・ディンクレイジ
クライド: ブラッドリー・ウィットフォード
リオン:ウォルトン・ゴギンズ

[その他(ドクターの家族)]
ルース: ジュリアナ・マルグリーズ

【ストーリー】
精神科医のアランは、電気ショック療法や薬物、ロボトミー(当時)で無理やり抑えつけられる治療に疑問を抱き、自身をキリストだと名乗る3人の患者を対象にして、対話やミィーティングを行う事で本人達の妄想を治療出来ないかと実験的な治療を試みる。

が、少しづつ成果を挙げつつある実験治療に興味を持った院長がちょっかいを出し始め…。

【総評】
特に事前知識なく見たため、見た後に少し調べましたが、原作は社会心理学者のミルトン・ロキーチが書いた、「イプシランティの3人のキリスト」で、妄想型統合失調症患者に対して行った心理学的実験の研究書とのこと。実際には、この物語にあるようなドラスチックな出来事は起こっていないのでちょっと脚色の仕方はドラマ性を意識しすぎるかなと思う。

しかし、それを差し引いてもいろんな人に触れてほしい作品の一本である。アラン医師の志しは作品としてはかなりヒロイックに映るが、本作の結末の片棒を担いでいたのは明らかに彼の実験でもあるのでその点は美化しようにもしきれない苦い感情が残る。シナリオ上の悪役が用意されてはいるものの個人的には腑に落ちない。その点を考えモヤモヤ自問していくのが本作の魅力的な所かもしれない。ジャック・ニコルソン主演のカッコーの巣の上で、マット・デイモンとロビン・ウィリアムズ主演のグッドウィルハンティング辺りか好きなら是非に。

最後に、本書のWikiを読み漁っていた際にこんな言葉があったのでメモっておく。

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ロキーチは、この実験が3人のキリストたちをまったく治療できなかった一方、「患者がその信念を捨てるよう操作できるという、自分を神のごとき存在と考える私の妄想は治った」と述べている。
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【あとがき】
アラン医師の妻役ジュリアナ・マルグリーズさん、何処かで何処かで見た事が…。
と唸っていたら、ERのキャロル・ハサウェイ役の方でしたね。懐かしい。昔NHKの深夜でよく見ておりました。
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