💩2023年223本目🧠(前半字幕、後半吹替)
これが絶対だとされる時代に、患者の事を第一に考え最善を模索した精神科医の姿。何かを成し遂げたわけではなくとも、非人道的な治療に頼らざるを得なかった業界全体に電気ショックを与えるストーン先生の患者との向き合い方には感銘を受けた。
患者に嘘をつくことに賛否両論あるようですが、統合失調症の難しさや他の患者達とも別次元に語られる描写があることから、治療としてのアプローチでとった一つの術なので、私は嘘に対しそこまで疑問に感じることはありませんでした。
時代を切り開く上で、常識や感情に囚われていたら今ある常識を変えることなんて絶対出来ないと思うし、根底には患者を思う気持ち、電気ショックや薬漬けから解放し、よりよい方法を見つけようとする気持ちが伝わるので、私はストーン先生のような存在は無くならないで欲しい。何より患者との信頼関係が全てを物語っている。
精神科病棟と電気ショック描写のある映画は、大抵悔しい気持ちにさせられるのですが、本作では患者を人としてしっかり描いているので、不思議な角度から見つめることができました。
流れが良くなってきた頃に邪魔が入り、悲しい結末を迎えてしまう点や、もう少し描いて欲しい部分もあるけど、その曖昧さが普通に人の人生っぽくて好感持てた。
何をどうしてこうなったという伝記としての側面よりも、最初から人として見ることをせず、暴れた時に制圧するだけが精神治療ではないことを示してくれたような 当たり前なんだけど当時当たり前ではなかった良心を感じられたような気がします。
どちらかと言えば自分は今のルールに縛られがちな人間なので、ストーン先生のような動きは出来ないかもしれない。だからこそストーン先生の行動が染みるのかもしれません。
うんこ先生に泣き、笑いました。
レインを演じたウォルトン・ゴギンズ…「ヘイトフル・エイト」で観てから大好きなんですよね。彼がいるだけで映画にスパイスが出る。この尖った存在感がたまりません。
そしてジョゼフを演じたピーター・ディンクレイジは数々の映画で唯一無二の存在感を残していて、本作でも遺憾なく発揮されており、本当にキリストなのかと思ってしまう佇まいが印象的でした。
ストーン先生にもっと協力者がいたなら、どんな未来だっただろうかと思うと悔しく切ない感情が残りますが、重い精神疾患を抱えていても人として向き合うことは忘れてはいけないと改めて思いました。
一つだけ書くとしたら、奥さん確実に何十年前の自分と同じ立場にある若い助手に嫉妬の念を抱いてましたよね? そこら辺がふわっとしていて、かといってストーン先生も否定も肯定もしないので、何故?となりました。
あとは助手が傷みを抱えた人間なのは伝わるのですが、気持ちを知る為にドラッグ試したり、必要以上にレインに近付こうとするのが気になりました。症状が良くなり、彼(レイン)と結ばれて欲しいなどと淡い期待を抱きましたが、レインの母親が悪い何かをもたらした事が想像出来るので、そんなに簡単な問題ではないことも実感して、精神の奥深さを垣間見た気がします。
ここで終わっちゃうの?と唐突だった気もするけど、観れて良かった。
最近こういう映画を観ていて、私も人の為になる仕事に就いてみたいなという思いが強くなった。