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ゾン100 ゾンビになるまでにしたい100のことのTSのレビュー・感想・評価

3.2
【作中のゾンビは社畜の象徴か?】72点
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監督:石田雄介
製作国:日本
ジャンル:ホラー/ドラマ
収録時間:129分
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 平均スコアがかなり低いのであまり期待しないで見ましたが自分はそこまで嫌いではありませんでしたよ。まあこういう系統のゾンビ映画、ドラマは結構あると思うので目新しさはないのかもしれませんが、ゾンビが蠢く世紀末の世界観をひたすらポジティブに描いているのがなんだか好印象でした。原作未読なのでファンからするといろいろと不満な点はあるのかもしれませんが、そこそこ楽しめました。

 憧れていた会社に入社した天道輝はいきなりブラック業務の渦中にのめり込まされていく。ある日、嫌すぎる中出勤をしようとしたのだが。。

 設定が面白いですし、現代の日本社会を皮肉めいていますね。天道からするとゾンビの世界になるということは毎日出勤しなくていいということになり、驚くことにその方が嬉しいのです。普通はこんな世界になれば絶望に陥り、生きていく気力を失うでしょうに、天道はむしろ噛まれてゾンビになるまでに、やりたいことをやっていくことにするのです。それは流石にどんな状況に陥った人でも無理では?と思えてしまうのですが、その楽観的な彼の考えそのものが今作の作風となっており、ゾンビが襲ってきているのに全く怖くない展開になっています。

 ゾンビのクオリティやアクションシーンはまあまあといったところで、特段気にはなりません。花火をしたり、温泉に入ったりとBGMが流れながらも自分のしたいことをしている様子を見るのはなんだか微笑ましいです。そう、人生って楽しいはずなんです。そりゃあ楽しむためには最低限の労働をして毎日を凌いでいかないといけない。ところがその仕事の量が多すぎて、その楽しさが忙殺されるのです。それこそまさに「ゾンビ」のような生活を強いられるのです。ああなるほど、現代日本の社畜と呼ばれている人をゾンビに例えているのかな?そうなるととてつも無い量ですよ。このままだと確かにまずいですね笑 なので、滅茶苦茶な映画のように見えて、割と社会派映画でもあるなと感じました。

 後半の展開からはやや失速気味になりましたが、元々期待値は低かったため許容範囲。何故世間にゾンビが溢れたかのかは一切説明がありませんし、パワーバランスが明らかにおかしいご都合主義など、やや気になるところはありますが、コメディゾンビ映画として割り切ればそこそこ楽しめるような気もします。ゾン100と言っている割に100もしたいことがないじゃないか、というところは内緒で笑
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