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にわのすなば GARDEN SANDBOXのdendohのネタバレレビュー・内容・結末

にわのすなば GARDEN SANDBOX(2022年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

十函(トバコ)という街...何かあるようで何もない、道の狭い住工混在地域をひたすら散策するお散歩ムービー。主人公が歩く→酒を飲む→歩く...の繰り返しで、劇的なことは一切起こらない。現地で出来た友人とも、禄に別れの挨拶をせずにバスに乗り込む。

これを観に行くと決めたのは上映時間がちょうど良かったこと、Filmarksの点数がまあまあ高かったことに加え、私がロケ地となった川口生まれ・川口育ち・しかも最初の就職先も川口市内という身の上だったから。しかしいざ上映が始まって映し出されたのは、ドラマ撮影でよく使われる川口駅周辺やグリーンセンターでもなく、森選手で有名な川口オートでもなく、NK流の西川口でも植木の安行でもない、私が知らない謎の街だった。どこだここは!

しかし橋から遠目にチラチラ見えるエルザタワー55、『昔は洪水が多かった』『鋳物工場』といったセリフ、セキュリティゼロの町工場等が映ると、ここは確かに川口だという確信を得る。
スタッフロールを観る限り、ロケ地となったのは市の南端の領家である。領家は駅からも離れており、川に挟まれているせいで私も禄に訪問したことも通りがかった事すら殆どないエリアである。逆にそれが街の再開発を逃れ、町工場が今も多く残ってるのかも知れない。制作者の皆さんに対しては、よくこんな街を発見したものだと感心する。

登場人物達は酔っ払って道端に寝たり、自転車に二人乗りしたりと、現代目線で観ると少しイリーガル。フェスと称したただの飲み会を鉄工場で開催したり、休みだからといって職場で酒を飲んだりするのもかなり良識からズレている。これが大学生なら青春ムービーになるのだが、主要キャスト陣は30前後らしいので、妙に退廃的な雰囲気を感じる。

またキャストの多くは演技が大根なのだが、これが街の雰囲気にめちゃくちゃマッチしている。台詞回しも独特で、ハマる人にはハマるのだろうなという感じの映画。
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