ダリオ・アルジェントのパロディを、90年代Jホラーのテイストで撮ったような作品。商業映画とは思えない。
とにかく音が悪い。
くぐもったような音響の中で台詞や効果音がキンキンと割れたように響く。シーンよっては多少マシになるので、初めは演出なのかな?と思って観ていたが、単に録音に失敗したんじゃないか?と思い始めた。
劇場の音量だと、もうそれだけでストレスになって辛い。
実相寺昭雄テイストな露悪趣味的な世界の中で、フィクションとメタフィクションが渾然となって、虚実入り交じるサスペンス的なホラーが展開される前半は何処か舞台演劇的。なかなか薄気味悪い演出にもドキドキする・・・話がちっとも進まないけど。
これは悪夢を形にしたのかな・・・と思って観ていたが、役者の演技や台詞まわし、衣装から何から、何処か垢抜けない・・・というか、ダサい。ポスターの映像も、劇中で観ると一寸ね・・・。
そして物語が後半、突如として斜め上(というか下)に劇的に展開するに及び、そのダサさとチャチさが炸裂し、吐血するかと思った。
こんな辛い思いはアルジェントの『サスペリア・テルザ』を劇場で観た時以来だ。
難解な物語なんじゃないよ、これは。
単に思いついたアイディアを映像化したフッテージを繋ぎ併せたけど、プロットが煮詰まっていないだけ。その証拠に、イメージの羅列で意味が良く分からないシーンは薄気味悪いけど、ストーリー性が高まると激烈にダサくなる。
まぁ、それは良いんだけど、「ミソジニー」とか「ファシズム」といった言葉やテーマ、実在の人物の死体写真を、こんなチャチに使うのは道義的にどうなんだ?