湯っ子

劇場版 荒野に希望の灯をともすの湯っ子のレビュー・感想・評価

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「平和とは、理念ではない。現実の力です。」

敬愛するレビュワーのみなさんが次々レビューをあげている本作。昨年から気にはなっていました。今回、良きタイミングで鑑賞できて本当に良かったです。ご紹介くださった方々に感謝!

この映画でもいいし、先生の著作でもいいし(と言いつつ私は未読ですが)、現代を生きる人全てが、中村先生の生き方に触れるべきだと思います。心を動かされた人が増えていけば、世の中がほんのちょっと変わるかもしれない。ほんのかすかなそよ風くらいでも、そこから何か大きな動きにつながるかもしれない。それは、先生が大いなる誠実さで、たった1人で異国で成し遂げたことよりも、もしかしたら容易いことかもしれないじゃないですか。

「やっぱり目の前に困っている人がいたら、見捨てるわけにはいきませんよね。」
口に出して言うのは簡単だけど、先生はそれをまっとうする。その拠り所はどこにあるかというと、理念とか信念とか、天を仰いで高く掲げたようなものではなく、身体の奥の方の、みぞおちあたりから込み上げてくる、良心、のような気がするのだ。それは私たち凡人にもあるものと同じ。
だけど、私たちは込み上げる良心を簡単に忘れたり、切り捨てたりできる。頭で損得考えたり、心が楽な方に流れたり、身体の気持ち良さにまかせたりすることで。
中村先生はそれをしない。自分の良心に誠実に、やるべきことを黙ってやり遂げる。
異国の人々を助ける一方で、当時10歳の次男を病気で亡くしている。先生のように、人類規模・地球規模の愛を持っている人の、家族への愛というのはどういうふうになっているのかと思ったけど、次男に対する思いは本当に普通の父親と同じで、そんなことにも私は泣いた(すでにずっと泣いていたけど)。wikiってみてわかったんだけど、先生は意外と子沢山だった。そんなところも、なんかいいなぁと思った。
湯っ子

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