まいやん

劇場版 荒野に希望の灯をともすのまいやんのレビュー・感想・評価

4.5
自分の人生が、
すべてこのために準備されていた

アフガニスタンとパキスタンで35年にわたり、病や戦乱、干ばつに苦しむ人々に寄り添い、生きる手助けをしてきた医師中村哲(2019年没)
彼が書き残した言葉を頼りに施策と実践を辿る

飢えと渇きで瀕死の人々
多くの患者に必要なのは、高価な薬ではなく
綺麗な水と栄養
百の診療所をつくるより一本の用水路を、と
埃だらけのシャツ一枚で、生きるために土を掘る医師
先人の知恵を借り、幾多の困難を越え
乾いた用水路に水が流れる
歓喜、笑顔の人々
荒野に緑が繁り、人々の生活も潤っていく
「与えることで受け取るものがある」
「心が豊かになっていく」

中村氏の言葉は、優しく、重い
人としての温もりと真実を伝えている

本当の平和とは、「戦争がない」のではなく
お互いに依存し合って生きていく
助け合っていける世界
他者とどう関わって、他者のためにどう生きるか

鑑賞後に21年間取材してきた監督のお話があった。
劇伴のモーツァルトは中村氏の娘さんが父に想いを馳せて弾いている

中村氏の座右の銘は
「一隅を照らす」
自分が置かれた場所で、暗がりを照らす如く
できることをする
医師として、人として、他者に尽くしてきた
彼の命をかけた人生の記録だった
まいやん

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