このレビューはネタバレを含みます
生まれて初めて、試写会なるものに参加してみました。全国ロードショー前、かつFilmarks ユーザー向けでコアな映画好きが多いということもあり、開始前は独特の緊張感がありますね…
予約が取れないことで有名で、1人1,200ドルもする超高級レストラン。主人公の女性は付き合う男性から誘われて、船に乗り込み島にあるレストランを目指す…
これは、色々な意味で予想を裏切ってくる作品ですね!
主人公を含めて、一癖ありそうな面々が離れ小島の中のレストランという、閉鎖空間に閉じ込められるという、とても映画的なシチュエーションから始まることで、よくある密室のサスペンスを想起させます。
料理について具材や器具や調理法にこだわった完璧な様式美から、メニューが出て来る度に「パン!」と手を叩き注目を集め、背景をいちいち説明するシェフ。何故かレストランの片隅でそのシェフの母がひとり呑んだくれていて、その母に抱擁したあたりから徐々にズレていき、違和感が増幅してくる中で、副シェフのアレが、「これもメニューだ!」と言い切られた辺りから、話が大きくシフトチェンジする様にグイグイ引き込まれます。
メニュー毎に段々と人が減っていき、主人公のアニャが追い詰められる様が描かれる展開を予想しましたが、結構みんな最後まで頑張るのは意外な感じで面白かったです。
こちらは予想通りですが、製作に「アダム・マッケイ」が関与しているので、社会風刺色強めです。レストラン業界の権威主義、男性/シェフ至上主義への強烈な風刺となっている訳ですが、映画業界自体のメタファーとして語られていると思われます。
関係者や名声や金が増える中で、当初思い描いていた作り手としての純粋な気持ちが薄れていき、人々に求められるものだけを作り続けることに終始することで、やがて身動きが取れなくなり…同様の苦悩をされている映画人が多いのではないでしょうか?