公開初日に鑑賞
予約が取れないことで有名なカリスマシェフ(レイフ・ファインズ)が提供する極上メニューを目当てに、孤島のレストランを訪れたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)のにわかカップル。目にも舌にも麗しい料理の数々にタイラーが感激する一方で、マーゴは言いようのない違和感を覚える。
〝このレストラン何かおかしい?〟
店内が不穏な様相を帯び始める中、計算され尽くし完璧な状態で出てくるシェフ自慢のメニューには、思いも寄らないサプライズが用意されていた……
閉ざされた孤島に招待されたゲストは著名料理評論家、元人気映画俳優、エンジェル投資家など。これだけでサスペンス要素満載なのに、密室となったレストランという二重のクローズドサークルに登場するレイフ・ファレンズ演じる気品と狂気を併せ持つカリスマシェフの圧倒的な存在感が否が応でも緊張感を高める。
シェフの料理には物語がある。今夜のテーマは何なのか?
そしてシェフの真の狙いは?
招いた側と招かれた側の主従がいつの間にか逆転し、見ているうちに自分も招待客の一人になったような気持ちになる。だが、もてなされている感じはまるでしない。次は何が出てくるのか、何が起きるのかと鼓動が高まる。
果たして今宵のフルコース最後まで辿り着くことが出来るのか?
物語の設定やキャスティングは良かったと思うのだが、招待客の人物背景と隠し味に使われていた支配する側される側の皮肉に満ちた演出が弱く感じられた。今回は製作に回ったアダム・マッケイが監督すれば、もう少しエッジの効いた演出をしたと思うのだが……
おっといけない。この映画、見終わった後に決して したり顔で批評めいたことなど述べてはいけない。カリスマシェフに〝パン〟と手を叩かれてこう言われる。
〝黙って映画を味わうのです。視覚で・聴覚で・嗅覚で〟
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出された料理はどれも目にも眩しく芸術的。一度は味わってみたいと思うのだが…
何故か劇場を出た後、〝ある料理〟を食べたくなります(^^)