ぶみ

ザ・メニューのぶみのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
3.5
三本はしごのラストはこちら。

死ぬほど素敵な夜(ディナー)へようこそ。

マーク・マイロッド監督、レイフ・ファインズ主演によるスリラー。
太平洋の孤島にある超高級レストランで、衝撃のメニューが振る舞われる姿を描く。
レストランのシェフをファインズ、スタッフをホン・チャウが演じているほか、レストランに訪れる客としてアニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモ等が登場。
物語は、孤島のレストランということで、ワンシチュエーションものとして展開。
ファインズ演じるシェフが率いるレストランは、軍隊のように統率されており、豪華さと、不気味さが融合された空気感が堪らない。
そこで提供される料理も、徐々に違和感が増幅されるものであると同時に、巻き起こるハプニングも衝撃的であり、一体何がこの先起こるのだろうかと楽しみになってくる展開となる。
しかし、終わってみると、徐々に明かされる真相の動機付けが若干弱かったし、それに対する客の反応も飲み込みが早すぎるかなというのが、正直な感想。
ただ、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』や、『バイス』、『ドント・ルック・アップ』といった、社会派とブラック・コメディを同居させた作品を手掛けてきたアダム・マッケイが製作に関わっているせいか、本作品に込められたメッセージの一つは、誰もが評価する側に回ることができるようになった現代社会を痛烈に皮肉ったものであり、これは、映画に対して点数をつけている私にも言われているような気がしてならないもの。
スリラーとしては弱さがあるものの、メッセージの痛烈さは一級品であり、題材がたまたま料理なだけで、創作する側と、受け手側の関係を考えさせられる一作。

私たちは一瞬の存在。
ぶみ

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