KAIRI

ザ・メニューのKAIRIのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
4.5
太平洋岸の孤島を訪れた12人の客🏝
お目当ては、なかなか予約の取れない有名シェフ、ジュリアン・スローヴィクが振る舞う、極上のメニューの数々👨‍🍳
なんと一つ一つのメニューには想定外の“サプライズ”が添えられていた…
極上のコースメニューにはどんな秘密が隠されているのか?🍽

高級フルコースとスリラーの見事な融合で新感覚の映画だった。
フルコース料理映画かと思いきや途中から一気にスリラー映画へと様変わり😮
美的かつ狂気的な絶品映画を堪能した!
エンタメ性は強いし、料理に対してまたは料理人に対してのメッセージを詰め込んだ見事なフルコース映画😌

赤毛のかっこいいマーゴと舌の鋭いタイラーのコンビが食に対しての対比がすごくて良かった👨‍🦱👩‍🦰
2人の結末も見事な対比だった思う。
マーゴ役のアニャ・テイラー=ジョイは相変わらずむちゃくちゃ可愛かった🥰
冒頭、タバコを吸ってるとこからもう…
起きている出来事を当たり前かのように見ているタイラーも面白いw

シェフのジュリアンが怖い…
全て計算され尽くしたフルコース料理と用意している“演出”がいろんな意味でえげつなくて面白かった😌

料理が出てくる度にインサートが流れたり料理名が出たりするのは、料理にしっかりフォーカスしていて料理映画ということを最後まで忘れさせない感じ👍
ブラックコメディーの塩梅も上手くて、
恐怖と一緒に笑えるような映画だった。
少しブラックすぎて笑いにくいけど…w










⬇⚠️ここからネタバレあり

シェフが手を叩く音が、あんなにも怖くなるのかと思ったw
その後の「Yes! Chef!」も怖ぇ…
シェフと料理人が見事な従順関係なのもトリハダもの😱

シェフの“演出”は面白くて怖いねぇ
・タコス生地に全員の罪が書かれている
・副料理長が自殺する
・男性は逃走、女性は食事をする
・天使の羽をつけて水没させる
・偽物の警察官を用意する などなど
食へのこだわりが特殊なのかなって思うけど、途中からそれだけでは無いことが判明してもう一段階レベルアップする。

僕のイチオシシーンは主にふたつ
1, 熟年夫婦がレストランの常連にも関わらず料理名をひとつも言えないシーン
夫婦が追い詰められているのは見てて面白かったし、「絞りだせ!」って願ってしまったw
2, タイラーの料理シーン
タイラーは料理に関して詳しいだけで、作ることに関しては能力がとんでもなく低いことが判明するこのシーン。
その場にいる全員をタイラーに注目させ、追い詰める様子は可哀想でたまらなかった😢
タイラーの作った料理につけられた料理名が…🤣

『島』『記憶』『混乱』などひとつひとつの料理に題名をつけ、最後の“デザート”に向けて準備を進める…
ラストのデザートはマジで狂気の塊!
なにあれ、気持ち悪っww

そこで鍵となるのがマーゴ🗝
本作で唯一マーゴがこっち側の存在。
高級料理の良さなんてわかりゃしない。
味の違いなんてわかりゃしない。
そういう消費者の感覚を「普通にチェーン店で食う飯の方が美味くね」「シェフのこだわりとか知らんくね」って感じでマーゴが代弁してくれる。
この時に周りの人達は「これは~な味がして」「これは~を表していて」って知ったかぶっちゃう、マーゴとの対比も良い。
消費者側が分からない、シェフの料理に対するこだわりを“人が死ぬフルコース”っていう風に誇張して映しているのかなって思って面白かった😊
知ったかぶってたマーゴ以外の客は最後まで“フルコースの本質”を見抜けなかったわけだしね…

最初来る予定だった人ではなくマーゴが来てしまったことで、フルコースの予定が狂ってしまった。
マーゴの過去が判明した時にシェフは自分の姿と重なりかけたとこがあったのかなと感じた😔
マーゴだけはあの場に適さない存在だったから最後に退場し、罪を背負う全員は死んでしまう(フルコースの食材のひとつになってしまう)というラストだったのかなというのが僕の解釈です🧐

あとチーズバーガーね🍔
この映画を観た大体の人はチーズバーガーを食べたくなってしまうのではw
その感覚が、僕らの料理に対する「なんだかんだ高級料理よりもいつも食べてるご飯がいちばん美味い」って感覚なんじゃないかな🤔
最後に出てきたチーズバーガーが1番美味そうに見えるんだから。

その他のとこで言うと
シェフのこだわった料理は値段が高く、作中のIT長者や料理評論家、熟年夫婦のように位が高い限られた人しか食べれないというのが上手く風刺になってたし、確かに作る側にとってはこんな人達の評価で店が左右されると思うとただの邪魔者だなって思った。

時々、『ミッドサマー』の雰囲気が漂う演出が入ってくるなって感じた🤔
・ 天使の羽をつけられた男性が水没させられるシーンで吊るされてる感じと落とされる演出
・ 男性が逃走するシーンで、鶏小屋に隠れているとこに料理を小窓から出して、手だけ映す演出
・ ラストのデザートで地面やテーブルに模様を描き、花を飾り客にはマシュマロやチョコで出来た服や王冠を着せるシーン
特に、この3つの演出とかカメラワークはめちゃくちゃアリ・アスター臭が漂ってた。
“羽”とか“鶏小屋”とか“装飾して燃やす”とかもう『ミッドサマー』じゃん!
影響受けてんのかな…w
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