このレビューはネタバレを含みます
"注文の多い料理店"
アニャ目当てで鑑賞。
超一流シェフ・ジュリアン(レイフ・ファインズ)が経営するレストラン<ホーソン>は船がないとたどり着くことの叶わない孤島に店を構える。
ジュリアンが提供する美食を求め、辛口のグルメ評論家や愛人らしき女性を従えた大御所俳優、ホーソンのオーナーの部下らしき成金の男たちなど、自分のような庶民から見ると「いけすかない」ヤツらが大集合。
本作の主人公であるマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)もその一味に加わり、ジュリアンが披露する狂気のフルコースに”参加”することとなる。
✏️生煮え
う~~~ん。
イマイチ乗り切らなかった、というのが率直な感想。
本作は孤島というクローズド・サークルの中でどうすることもできないお客たちが、ジュリアンに”料理”されていく様を楽しむ作品であるが、その描写や展開はいずれも自分の中での「スリラー映画としての満足度」を高めてくれるには至らなかった。
副料理長がイキナリ拳銃で脳天を打ち抜いて自殺するシーンが驚きのピークだったかもしれない。
森での追いかけっこ。
捕まったらその場で殺されるとか傷を負わされるとかそういったペナルティは特になく、最後まで逃げ切った人にはポーチドエッグをサービス。
殺害されるオーナー。
ゆっくり海に沈められ、ゆっくりと溺死させられる様はたしかにその場に居合わせたら一生トラウマものの体験だろうが、あいにく我々はスクリーンの向こう側にいるので迫力に欠ける。
この狂気のフルコースは、いわばジュリアンの人生に泥を塗った者たちへの「復讐劇」…だとして、では今まではどうやって営業を続けてきたのだろう。
本作のクライマックス、ジュリアンはお客とホーソンのスタッフもろとも「スモア」となって集団焼身自殺を遂げるワケだが、なぜこの回だけ…?
何か重要なセリフや伏線を見逃しただろうか…?
アニャ演じるマーゴだけは、ジュリアンと過去に何の関連性もなかったため、「最高のチーズバーガー」をテイクアウトすることで難を逃れた。
これもイマイチ腑に落ちない。
それまで何の料理も口にしなかったマーゴに最高のチーズバーガーを提供し、料理人としての矜持を満たせたからなのだろうか…?
せっかくジュリアンの過去に関連する人物たちを集めているのだから、彼らの過去---主に悪事を暴きながら、その過去に絡めた方法でひとりひとり命を奪っていくような展開にすればスリルは増したような気がする。
☑️まとめ
スリラーとしてもサスペンスとしても、何かもうひと味が足りない。
自分の舌だけでは、この作品が持つテイストを十二分に味わうことは叶わなかった。
何とも、”咀嚼”に時間のかかる作品。
余談だが、本作を見終わった後は思わずチーズバーガーが食べたくなる。
食べた心地のしない100万円のフルコースより、いつでも食べられる100円のチーズバーガーがいいなぁ。
🎬2022年鑑賞数:110(50)
※カッコ内は劇場鑑賞数