このレビューはネタバレを含みます
食べるのではなく、味わう。
食を大切にしない上流階級や口だけのファンに、混乱・恐怖・罪悪感といった "メニュー" を味わわせ尊厳を踏みにじっていくブラックユーモアな映画。
嫌味な客が慄く姿や、軍隊のように統率の取れた厨房は見ていて何だかスカッとした。
タイラー君は大恥かかされて実に可哀想。
料理自体は皮肉った物や感情を与える体験型の物が多く、その面ではちょっと肩透かしを食らう。
ただ最後のチーズバーガーは、シェフの純粋に料理を提供できる喜びの表情含めて、めちゃくちゃ美味しそうで本当にズルい。
あくまでレストランのシェフである、という点をついたマーゴの切り返しも上手かった。
各人の行動動機があまり深掘りされないので、死を受け入れているスタッフ陣や、マーゴが逃げられたのに最後まで抵抗する事を諦めた客達の感情には少し置いていかれてしまった。
気持ちの汲み取りや考察が好きな方は、この辺りもっと楽しめるかもしれない。