yuna

ザ・メニューのyunaのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ドイツの映画館にて鑑賞。
彼が見たいと言ったのでタイトルだけしか前情報なくのんびり観てて、へ〜〜料理映画かなあとか思ってたら、まさかまさかのドサイコパス攻撃で途中から泣きそうでした笑笑
The messだったかな?というメニューでシェフが銃で自殺、そこからは作品内の客と全く同じ反応をしていた私。笑
1番絶望したのは俳優役の人がサイン求められてHELP USって書くファインプレーをせっかくしたのに、助けにきたオフィサーもグルだったとこだな……
本当にこういう映画苦手でイギリスに来てからは特に免疫落ちていたのですが、それでも最後まで見れたのはユーモアと暴力のバランスが絶妙だったからだと思います。一つ一つのメニューの紹介とか(ニコラスホルトのun-cooked◯◯, un-cooked ◯◯、最後のjust a well-made hamburgerとか笑 )、俳優役の殺される理由だけめちゃくちゃとか(サイン求められてシェフの方ガン見しながらタイトル言うアピール笑った)、ニコラスホルトの料理の写真撮りまくってるトルティーヤとか、女子界テーブルでみんな死ぬならfuck itってもっとワイン飲むとことか、アジア系女性のNoの徹底ぶりとか笑笑
見終わった後、足ガクガクで退場したわたしにBig question. Do you think the chef can be justified?て聞いてきて、No…??????て感じだったのですが、そこから彼の話を聞いて、(彼は全部予測済みだったらしい笑)あーほんとに映画見る力のレベルが全然違うなあと尊敬が増しました笑

以下彼の意見...「私の反論」込み笑笑


この作品はシェフ、ひいてはサービス業界全体に蔓延る問題に対する警鐘。料理のために家族も自分の時間も全て手放して、1人離島に住まなきゃならなかった。金持ちに向けて料理を振る舞えば振る舞うほど誰にも料理を本当の意味で味わってもらえなくなる。自分では料理を作れないくせに好き勝手書き殴る批評家、シェフを好きな自分に酔って信者ぶっている客、10回以上来てるのに料理の名前をひとつも言えないエセグルメ家。
「でも離島にレストランオープンしたのは自分では?」→厳密にはシェフ自身の店ではない、オーナー(吊し上げられていた天使)が別にいてこき使われている。
「でも全ては自分の選択だし、そんなに嫌なら今からでもシェフをやめて家族とか自分に時間を使えばよかったのでは?」→シェフはこの仕事を続けることで幸せになりたい。彼は今まで料理しかしてこなかったので、今更やめてもすることがない(いや探せよ、と思いましたが笑笑)
「批評家はまあたしかに好き勝手言い過ぎなときはあるかもしれないが、自分自身は料理できないけどファンでいることは自由では?映画や絵画でも自分が作れないと作品を好きでいる権利がないわけじゃないし」→それはそうだけど、ニコラスホルトは主人公が死ぬと分かってて連れてきたという明らかな罪があるからガチの悪人(それはたしかに笑)。
「でも私もバイトしてたことあるけど、サービス業界なんてそんな理不尽が当たり前では…?と言い始めたけど、そこで、それぐらいのこと当たり前と思うこの風潮こそが問題なんだと気付かされた。特に日本はレストランとか、オフィスワークでも、お客さんが神様扱いでどんなクソ客にも丁寧に謝って、あまりのストレスで自分の心を病んでしまう人も多い。私はそれがよくある場所で生まれ育ってきたから、この風潮を諦めて受け入れてしまってたのかもしれない。
ただ、いくらそうとはいえ、当たり前だけどこんなカルトを作って人を殺していい理由には絶対ならないから、彼の話を聞いて、だから最後主人公はみんなを助けなかったのか!(しかも1人奥さんが行きなってジェスチャーしてた、彼女だけは無罪だから)とか若いシェフたちもシェフに同意して自分からメニューの一環として死のうとしたのかとか理由に納得はしたけど、シェフが正当化されるとはどうしても思えなかった。そんな私は彼によると正義感が強くてピュアらしい…??(いやいや!!!)
あと、私みたいに普通にビビりまくって何やこのカルト映画…と皆なりそうなものの、このメッセージに気づける人がどれだけいるんだろうと疑問に思った笑そしたら英語のアプリでは彼と同じ考察をしてる人が結構いたらしく、やっぱネイティブつえ〜と思いました笑

めちゃくちゃつらつらと書き連ねてしまいましたが、この後は似たようなミッドサマーについて語り(そっちについては意見が一致した笑)ドイツの夜を歩きながら語り帰ったことも含めると、最高の映画体験ではありました!!笑
yuna

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