皮肉が効きすぎたスリラー映画。
アート的な要素と音楽的な要素、民族的な要素をスリラー映画と合わせてるあたり、こういうの最近流行ってるんだろうか。個人的にこういうタイプめっちゃ好きなのでどんどん出してくださいお願いします。
ほぼほぼワンシチュエーションスリラーなので見やすい。舞台が島な割にはスケールの小ささ感は少しあったし、思ってたスリラー映画ではなかったけど話のテンポ感が良くて引き込まれた。
アニャ・テイラー=ジョイの一際目を引く演技はもちろん、シェフを演じるレイフ・ファインズの演技が見事。
そしてとにかくテーマ設定とそのテーマの表現が素晴らしい。
客に対して奉仕する側の人間は途方も無い努力で登り詰めるわけで、それはどの業界でも変わらない事実。上り詰めると当然、創り出すモノの価値は上がって奉仕する対象は変わる。そうするとそのモノを享受できる人間はそのモノの価値を軽く見てしまうようになる。
モノの価値が上に無限にある料理というテーマだからこそここまでよく出来た舞台設定になってる。
もし、映画が作品によって値段が変わるものだったとして、この映画が高価なものだったとしたら、皮肉が効きすぎてて見に行った人どうなっただろうか(笑)
ひとつ気になったのは最後のカットへの道筋を意識しすぎてて各キャラの行動原理が若干甘く感じたこと。なんでこうしない?みたいなのを少し感じた。でも全体的な脚本はよく出来てた。
何故かディズニープラス配信ではDolbyAtmos&Visionのクオリティで配信してくれてたのが地味にうれしい。これからSFとかアクションものだけじゃなくて色んなジャンルに普及していって欲しい。