ゆかちん

ザ・メニューのゆかちんのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
2.8
風刺風刺風刺〜〜!!
すごく言いたいことはわかるけど、恐らく製作陣の狙い通り、不快になりながら観ました笑。

本日ついにレイフ・ファインズのヴォルデモートを観たので(=ハリポタの炎のゴブレットを観た)、このまま狂ったレイフ・ファインズを観ようと観たら、狙い通り見事な演技でした。



予約の取れない孤島のレストランにやってきたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)。
有名シェフのスローヴィク(レイフ・ファインズ)が極上の料理をふるまい、食通のタイラーは感動しきりだった。
しかし、マーゴは違和感を覚え、それをきっかけに次第にレストランは不穏な空気に包まれていく…。



異様にスタイリッシュな建物と料理。
二品目以降、不穏な感じが出てくる。

パンのないパン皿て。皮肉が凄いよ。

閉鎖された空間で段々洗脳にも似た空気になっていく様は不気味だった。
客たちはどこかシェフの言うことに理解し、後ろめたさを感じてるからああいうふうになってしまうということなのかな。

なんか、シェフの言わんとしてることはわかるけど、過剰すぎだよな〜。
人間思い詰めたらああなるんやろか。
同様にシェフに着いていく従業員やばくね?
盲信したら究極こうなるのかな。
まあ、そこは映画なのでってことですかね。

①与える側と奪う側の話。

与える側(=サービスする側)の苦労や努力、気持ちを考えず、感謝もせず、与える側の自由を奪い好き勝手文句ばかり言うお客様(=奪う側)への復讐ということか。

で、その奪う側について、特に金持ち達への復讐という感じを際立たせる。
作り手の努力や、材料の価値もわからないくせに、金に物を言わせて高いから価値あるて思ってるだけっていう。
投資家3人組が言うてた「一回来ておけば箔がつくから」と言うセリフがそれ。
必死にお客様を喜ばせようと作っても、受け取る相手は虚栄心を満たすためだけに来てる。だから、喜んでくれる人に提供したいのに、高くなりすぎて、作ったものを本当に受け取らない人にしか提供できないという葛藤。

うーむ。
生産者と消費者の関係、そこに感謝の念を忘れてはならないなぁって思いました。



②キリスト教の最後の晩餐
招かれたお客さんがシェフの母含めて12人でこともあるし、ワインやパンやというのを見てると、最後の晩餐がテーマなのかな?


③タイラーについて
タイラーは、特殊なキャラクター。
最初からヤベェ奴な香りがぷんぷんしてたけど、彼は色々なものを象徴してるキャラクターなのかなと。
有害なファンボーイ、女性蔑視的な男性として風刺させるべく設置しているのかな。
タイラーがああやって女性相手に饒舌に知識をひけらかすのはいかにもって感じ。
知識・教養をひけらかす見栄張り野郎というか。自己満野郎というか。相手をマーゴにしたのも、金で買える美人な女を飾っておけばいいみたいな発想ぽいという。げろげろ。

彼だけが料理が最後まで提供された後に全員が死ぬことを、事前に知っていたという。
それにも関わらず振られた恋人の代わりに、金で雇って娼婦のマーゴを連れてレストランにやってくる。
とんでもねえヤツだな!!
ただ、死ぬのわかっててなんで料理の写真撮るんだ?

でも、タイラーは他の客と違い、料理については彼なりに楽しんでいる。
でも、彼はそういう象徴ではなく、「知ったかぶって評論家気取りでウンチクとか批評とかする人」の象徴なのかな。
だから実際に料理させて、下手くそだと恥をかかせる。
この辺は自称○○評論家とかに向けての皮肉なのかな??
例えば映画もそう。
「あの作品はクソだ」とかウンタラカンタラ言うてるけど、お前作れるんか?てことなんかな。

うーむ。
でも、ここで少し矛盾も感じる。
感想は人それぞれだしな〜って。
まあ、そこに作り手のことも考えずにクソミソいうのはどうなんかなって思うけど。
駄作て言われる作品も、作ってる人らは別に駄作作ろうと思ってるわけちゃうやろしさ。
色々考えて作ってるとは思うねんな。
それを踏まえて、自分的にはここがあんまり…とかの感想はわかるけど。

YouTubeとかで、そこが抜けて作品を悪く言うてる人は、なんだかなーって思ってしまう。や、洒落たけなし言葉使うのは面白いとは思うけど。必要以上に酷い言葉で評論家気取りでディスってる人はどうなんかなって。

でも、消費者も消費者の自由てのがあると思うしな〜、、。
作り手の押し付けも良くないと思うし。

まあ、で、タイラーはそういう特殊な立ち位置と、マーゴのこともあって一番不名誉な自殺という結末に。
最後の晩餐のユダみたいな扱いなのかな。
てか、タイラー、サイコパスやな。自己中にも程がある。

いやー、ニコラス・ホルトこういうのうまいな。
キラキラした目で「お前マジか!」ていうようなこと言うの。
最後の料理からの〜の表情もすごく哀れで良かった。


でもなー、やりすぎよな。

てか、落ち目の映画スターなんて、「休日に観た映画が駄作だったから」という理由で殺されるって。可哀想じゃないか…?
映画業界の人たちに向けてなのかな?こんな目に遭わないために手を抜いて作るなよって。
映画スターは自分で駄作と言ってたてことは、やる気なく演技してたということなのかな。
シェフも作る側だから…手を抜くみたいなやつは許せないてことか?
もし映画スターが彼なりに必死で演技してたら、そこを勝手に文句言うのはブーメランだし。
あと、この落ち目の映画スターの付き人である女性はなぜ。ブラウン大学を奨学金を貰わずに進学していたってのが理由ってのがイマイチわけわからんかった。アメリカと日本のシステムが違うのか?
この落ち目のスターを演じてたのがジョン・レグイザモ。シェフとかジョン・ウィックであちこちチラチラ出てる印象。



レイフ・ファインズ良かったなぁ。
笑顔から冷徹な表情、そして、何か心の内を覗かせる潤んだ表情。
一本の映画で様々な表情を。
若い頃のキラキラしてる写真が余計悲しかったな。
最後火をつけるときのイッてる感じもヤバかった。

エルサ役のホン・チャウのフンワリしてそうで淡々とやばい雰囲気もよかった。
でも、彼女はシェフのこと好きだったのかな。マーゴにヤキモチ妬いてたのかな。なんかその辺の描写も欲しかったかも。


アニャ・テイラー=ジョイ、似合ってたな。
カッコ良かった。眼力強し。
あんな露出高い服着てたのはそういうことでしたかというか。
彼女がシェフとサービスする側として少し心を通わせるところものかったな。レイフ・ファインズの演技も含め。

彼女が機転を効かせて最後店を出る時、残された客達は何も言わず、あの老夫婦の奥さんは「お行き」と合図したのが、残された人たちのなんとも言えない気持ちになりました。

チーズバーガーで本来のシェフの喜びを思い出させるのよかった。なんか悲しいな。

アニャのチーズバーガー食べるラストシーンは良かったな。
てか、彼女は助かったんやろか。
あの店からは出られたけど、船止まってもうたし。

うーむ。
モヤモヤっと。
うまく風刺が効いてて言いたいことはわかるし、それがまた良いところを突いているなと思うけど、なんか過剰でモヤモヤするなー。
ドント・ルック・アップ見た時みたい。
…て思ってたら、アダム・マッケイが製作にかかわってるんだな。どこまで影響があるのかわからんけども。
ゆかちん

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