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ザ・メニューのkuuのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
3.8
『ザ・メニュー』
原題 The Menu.
映倫区分 R15+
製作年 2022年。上映時間 107分。
レイフ・ファインズ、アニヤ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルトの共演で、孤島にある高級レストランに隠された秘密が明らかになっていく様を描いたサスペンス。
マーク・マイロッド監督がメガホンをとり、アダム・マッケイがプロデューサーを務めた。
アニヤ・テイラー=ジョイと、ニコラス・ホルトがカップルを演じ、謎に包まれた名シェフのスローヴィクを、レイフ・ファインズが演じた。

有名シェフのジュリアン・スローヴィクが極上の料理をふるまい、なかなか予約が取れないことで知られる孤島のレストランにやってきたカップルのマーゴとタイラー。
目にも舌にも麗しい料理の数々にタイラーは感動しきりだったが、マーゴはふとしたことから違和感を覚え、それをきっかけに次第にレストランは不穏な空気に包まれていく。
レストランのメニューのひとつひとつには想定外のサプライズが添えられていたが、その裏に隠された秘密や、ミステリアスなスローヴィクの正体が徐々に明らかになっていく。

思慮深く、刺激的でコミカルそれでいて独創的な作品でした。
すべてのコース一品いっぴんが創造的で、すべてのキャラが非常にうまく演じられていました。
序盤はスリリングでありながら掴みどころのない展開で、完全に前に進むわけではありませんが、展開が大きくなるにつれ、見ていてワクワクする作品に仕上がっています。
誰もが人生で出くわしたことのある『強迫観念』を題材にし、奇妙でユニークな癖のある、一見不気味なスリラー/サスペンスタイプの映画としてスタートするが、徐々にもっとワイルドなものへと発展し明らかに行き過ぎたものとなっている。今作品は、シェフのメニューよりもタイトな脚本で、映画ファンでなくとも楽しめるかな。
今作品は、芸術と芸術家の結婚をめぐる飽き飽きした会話について、新鮮で興味深いことを語ってる。
筋書きには、額面通りに受け取っていると簡単に見逃してしまうようなはっきりとした非論理的で混乱した要素がある。
全体として、分別があり、首尾一貫した、満足のいくスリラーであることを意図していない。
その代わり、今作品は我々の社会における痛烈な現象、つまり、我々の周りで芸術を生み出す人々に対する見方、消費、追求、そして最終的には執着の仕方についてのコメントと云え。
もちろん、今作品はシェフと彼の綿密なメニューについてですが、実際には、あらゆる種類の芸術、すなわち映画制作について、より大きな論点がある。
マーク・マイロッド監督は、最近の映画のあり方について非常に焦点を絞った指摘をしているように思えるし、芸術家とそのファンが、互いの芸術を認め合うことで十分な関係を築けるはずなのに、しばしば互いに距離を置いているように見えるという、一貫したテーマがあるように思います。
今作品は、自分がどこまで『誇大広告に乗るか』を考えさせ、逆に『誇大広告』に乗らずに一貫して遠ざかっている人たちに対して、かなりショッキングなコメントを残している。この映画では、「誇大広告に踊らされることなく、一貫して "誇大広告 "から遠ざかっている人たち」に対する非常に衝撃的な見解が描かれてました。
このような色調の変化を伴う脚本が、ドラマ『メディア王 〜華麗なる一族〜』の脚本家/監督からもたらされたとしても、何のショックもない。今作品の作り方の多くは、番組を思い起こさせるものです。
鋭いウィット、笑いと呆れの間にある皮肉、ひねり、展開、そしてもちろん、我々大切にしている社会通念、しかし根本的に非常識な才能への敬意に対する、とても繊細な鼻の先への指さす。
今作品考えさせられる作品の一つでした。
天才的な芸術家と狂気のサイコ野郎の境界線は何なんかと考えさせられます。
アーティスト、アート、そしてそれを(文字通り)消費する人々など、すべての登場人物を見渡し、その中に自分を見出させてくれるかな。
高級レストランという言葉だけでなく、ファッション、アート、映画製作、音楽などの状況を見事にパロディ化したものやったし、完全に間違って読んでいるかもしれないけど、まあ、それが芸術というものなんかな。
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