プリオ

ザ・メニューのプリオのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
4.0
まず、アニャテイラージョイが可愛い。彼女が出演する映画を見ようと思ってしまう。追っかけている女優の一人だ。  

ナイトシャラマン監督の「スピリット」で既に輝きを放っていたが、今やどんどん綺麗になり、独自の存在感を放つ女優として、確固たる地位を築いてしまった。いい意味で、人間離れした体型に、顔立ち。ハスキーな低い声。スペイン語も、英語も操る。この唯一無二感。 

そんなアニャが狂気的なレストランで、静かに暴れ回ってくれる。高級コースを十品楽しむ設定なので、雰囲気は落ち着いている。だが、なんかおかしい、不気味で、ざわつくような事が時代に起きていく。映画を見ている僕たちも、そんな謎の空間を体感する。そして、いったい何が起きているのか、シェフの目的などを、アニャと共に推察する。

全てのキャラが立っていて、演技も素晴らしいから、この世界観に入り込むことができた。

テーマは、格差社会。
搾取する側とされる側。
接客される側とする側。
客とスタッフ。
奪う側と奪われる側。
そんな狂った世界から脱出する物語だ。

そしてもう一つは、芸術。
お客さんを喜ばす愛情は忘れ、ただ料理に執着するようになったシェフの末路。料理自体を芸術の域まで達したシェフは、料理本来の大事な部分、チーズバーガーの美味しさを忘れていた。料理に囚われた男の物語でもある。

初心を忘れることってあるよな。

大事な部分。童心。夢中で、熱中できたあの頃。そんな大事なことを思い出させてくれる。

料理とサスペンスをうまく絡めており、今まで見たことがない映画だった。脚本の技とキャストの演技で、上質なサスペンス映画になっている。深堀しがいのある作品です。

あと、ラストシーンがカッコ良過ぎます。
プリオ

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