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ザ・メニューのkmiwのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
4.0
あらすじ知らずに観たので、前半導入部辺りでは高級レストラン ノーマ [ https://filmarks.com/movies/68916 ]
を皮肉ってんのかと思ったよ。店のコンセプトとかそっくりだし。

以下ネタバレるかも🙅

ざっくり言うと、陸地から若干離れた孤島にある予約のとれないレストランを舞台に、レイフ・ファインズ演じるシェフが復讐を果たすというストーリー。

最初はレストランに招待されて鼻高々なゲスト達。しかし過度で過激な演出により紹介される一皿一皿を経る毎に店内の空気がみるみる不穏になっていく様子はなかなか面白い。

レイフ・ファインズのまとわりつくような視線と一糸乱れぬ軍人みたいなスタッフの動き、料理の紹介内容の不気味さ。徐々に招待客の背景が明かされ、追い詰められていく。

レイフがただのサイコパスっぽくないのも良い。仕事に対する愛が充分感じられる表情の揺れが良い。

狂言回しは、あるカップルの女性(アニャ・テイラー=ジョイ ※クイーンズギャンビット主演の印象的な女優!)
いわゆる整った美形ではないが綺麗。大変魅力的に演じていらっしゃる。
彼女が最終的に仕掛けた行動で運命が大きく動くのだが、それは観てご確認を。

CINEMORE 香田史生氏のインタビューによると、監督はロバート・アルトマンのゴスフォード・パーク という作品を参考にこの映画をお撮りなすったそう。
少し長いですが抜粋
『一つはテーマで、持てる者と持たざる者の階級差別に関すること。もう一つは役者との仕事の仕方です』
『 アルトマン監督は出演者全員にマイクをつけて撮影をしているんです。録音技師も二人用意して、一人が脚本に書かれているメインのセリフをしっかり録り、もう一人はその他背景の話を録音する。つまり、その場にいる全員の言葉を収録しているんです。』
ほー、なるほど。興味深い。

全体的には、レストランスタッフのプロフェッショナルらしい動きなど出来の良い映画だとは思うが、一つ気になるのは、殺されなければならないほどの理由を持ったゲストはいないかも、という結構大事な部分かな。
でもそれを差っ引いてもクラシカルな雰囲気とか、料理の面白さとか役者の掛け合いとか観るべき理由のある映画でした。
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