マクガフィン

カラオケ行こ!のマクガフィンのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.6
ヤクザと中学生のカラオケを通しての微量なブロマンス的な関係が可笑しく、含蓄ある声域と選曲が軽やかなテイストに厚みを齎すことに。学園内での繊細なバランスや思春期特有の鬱積の表現方法、卒業・廃部・再開発でのノスタルジアをさり気なく掛け合わせるイーハトーブ的な巧さも。

前奏や間奏が長く、高音で歌いづらく、カラオケでは不向きな「紅」の選曲が秀逸で、裏声で歌う綾野剛に抱腹絶倒。「紅」は只のコミカル要素かと思いきや、『花と沼』のような終盤に活用する意外な構成と曲のイメージが反転する妙な趣に感情を揺さぶられる。原作未読。