ベンジャミンサムナー

カラオケ行こ!のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
3.0
 原作は21年の「このマンガがすごい!」にランクインしたタイミングで読んだことがあった。

 単行本一冊で完結してるし(後で続編出たけど)、漫画では表現できない「紅」の歌唱を聴けるから映画向きだと思っていた。

 だが、実写で観ると中学生がヤクザにホイホイ付いていく展開に改めて疑問符が沸いてしまう。

 聡実が特別神経が図太い中学生って設定ならまだしも、狂児以外のヤクザや切り落とされた指を見た時は普通にビビッてるからなおさら「なんで??」って思う。

 原作は和山やまの絵柄も含めた淡々とした空気感でスッと読めるけど、実写でやると生っぽさが邪魔をしている。

 あと、紅が聴けるのは良いけど本作の核である″声変わり″は実写で表現するのは難しかったか。

 聡実が歌ってる描写はちょいちょいあるが、合唱なので聡実の素の歌声がちゃんと分からない。
 しょうがないけど、思春期の不可逆性を声変わりで直接的に描けないのはいたいなあ。

 代わりに、映画見る部の巻き戻しできないビデオデッキに託して描いてるけど、流石に回りくどい。

 後輩の和田が聡実に対して原作以上に「真面目に歌って下さい!」と突っ掛かってるけど、声変わりで今まで通りに歌えなくなったことを他人に言わないのは何故?

 本作で、和山やまの漫画の空気を実写で再現するのは意外にハードルが高いことが分かった。