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カラオケ行こ!のせっのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.2

合唱部で最近複雑な思いを抱えた聡美と、組のカラオケ大会で最下位になることを回避するために歌を教えて欲しいと現れたヤクザの狂児が不思議な親交を深めていく話。

ヤクザにしてはイケメンすぎ、清潔感ありすぎ、スマートすぎ、ジェントルマンすぎる狂児の雰囲気が、後に聡美が思い起こすように確かにこれは幻覚かもしれないと思わせる(笑)

狂児は物理的な危険からは守ってくれるけど、聡美の精神面に積極的に関わることはしてなくて、狂児の行動から聡美が勝手に「愛とは何か?」とか色々考えて1人で知らぬ間に成長していく話。そう考えると、狂児は聡美のイマジナリーフレンドっぽい。声が変わっていく複雑なこの時期にしかないもの、みたいな。

でもこの映画は、そういう歪なものや汚いものは全部丸ごと自分や世界の一部だ!って映画なので狂児が最後までしっかり実存していたのが良かった。ヤクザが中学生に「カラオケ行こ」と誘う歪さから始まったこの映画、その歪さが至る所にあってクセになる。

特に合唱部がヤクザ側より変(笑)先生も生徒も含めて誰も芯をついたこと言わないし、個々がそれぞれの世界を生きすぎていて誰も噛み合ってない。なのに何故か全員勝手に成長して、スッキリした顔で卒業していく。あぁこの素晴らしき変な世界(笑)

紅の歌だってそもそも最初なんか英語で語ってるような歌詞変だし、「紅だーーー!!」って叫ぶのも変、なんならサビもずっとキー高くて叫んでるみたいで変。そんな歌を変なヤクザのために、完璧じゃない声で歌う聡美のシーンがエモすぎた。
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