うみんちゅ

カラオケ行こ!のうみんちゅのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.9
めちゃくちゃ高評で、パンサーの向井さんがだいぶ前に漫画を推してたのを覚えてたから、観ました。

相当良かった。とてつもない謎が隠されてるとか、衝撃の最後が待ってるとかではないんやけど、中学生とヤクザがカラオケ行くという物語でここまでおもろくできるのはえぐい。聡実が合唱でもカラオケでも頑なに歌声を披露せんことで中盤頃から"ここまで来たなら、最初に歌うなら紅やろう"と思わせてくれて、しっかり最後に紅を歌うところ、裏切らない良さ。絶品やった。聡実は、紅の爆発のために逆にあのクールな感じを演出してると思ったらすごい。役者の子もだいぶお似合いの役やったと思う。

ヤクザのカラオケ大会で1番下手な奴が組長直々に下手くそな刺青掘られるから、それを避けるために狂児は歌が上手くなりたくて、たまたま通りかかったとこで合唱コンサートやってて、そこで上手かったチームの部長の聡実を見つけて、「カラオケ行こ!」から始まる。ちょっとこの出会いは無理矢理感あったかな。でもまー偶然の範囲内。狂児の十八番のX JAPANの紅から始まるカラオケが最後にあんな終わり方するとは。

狂児が一昨年のカラオケ大会ではキティちゃんを見たらおかしくなる先輩が負けて、腕にキティちゃん(似ても似つかへん)の刺青入れられた話を振ってて、チャンス大城さんのあのワンカットで回収する素晴らしさ。あの一瞬やけど、観客みんなが"これがあのキティちゃんや!"ってなって笑える良さ。
過去何回も負けて刺青入れてる先輩が、死にに行ったと思ったらたんぽぽ教室行くとかのベタな笑いも良い。たまにくる笑いの挟み方がめっちゃ好きやった。
狂児が歌下手のヤクザ仲間連れてきたシーン、わかりやすいカラオケ下手くそ大喜利と、聡実による的確な指摘が素晴らしかった。カラオケにヤクザ複数と中学生がおる空間、シュールではあるけど、おもろかった。ただ、完全に狂児より下手やろってヤクザが何人かおったから、「なんで狂児はこいつらに負けると思ってるねん」ってなってしまった。下手くそ大喜利かつ、聡実の指摘によるスッキリを見せたいんやろうから必要ではあるやろうけど。狂児の歌をもっと下手にしとくべきやったかなと思った。

「カラオケ行こ!」って誘うのが狂児から聡実に反転したところが、聡実が心許したってのをわかりやすく見せれるから素晴らしい。
狂児の音域に合った数曲を聡実から提案されて、おすすめ→紅→おすすめ→紅→おすすめ・・・のサンドイッチ紅良かったし、聡実が止めるタイミング一個遅いかもと思ったけど良かった。

聡実の学校来て、聡実たちによる三角関係と思えるような場面を見た狂児が、三角関係ちゃん!っていじったら、聡実がほんまにそうじゃないのにそんなイジられ方して本気で怒るの、思春期やというのを忘れてなくて良い。あれこそが中学生のリアル。ほんでそれ以降はプライベートに立ち入らん距離感取るの、絶妙。塾の先生と生徒みたいな関係性。
狂児は黒スーツを着てるってことをずっと振ってたから、事故現場で血を流してる黒スーツがワンチャン狂児なんじゃないかとちょっとでも思わせたのは偉い。さすがに違うやろうとは思ったけど、ああいう努力は必要。

めちゃくちゃ重要キャラってわけではないけど、映画部と聡実のやりとりは、セトウツミ の2人みたいで良い。聡実にとっては、逃げ場やろうけど映画部からしたらすごいいい思い出になったんやろな。
女子中学生達も、達観してるあの感じもめっちゃ良い。
ほんで裏MVPは、聡実の合唱部の後輩の和田君。あの子はいいキャラやし、絶妙な中学生。あの子がおることで、カラオケの本軸ではない部活パートにめちゃくちゃ意味が出た。ほんで最後に泣いてるの、めっちゃ中学生のリアルで良かった。高校生じゃなくて、中学生設定やからこそあの感じ出せてるんやろな。映画部のビデオデッキを壊してもーて人生詰んだみたいな考えになるのも、めちゃくちゃ良かった。聡実は、あの子がおったから自分が退いても大丈夫やと思ったのもあるしな。
ほんで聡実の実家、実家すぎる。何がとは説明できひんけど、実家すぎるあそこ。
シャケの皮のくだり。愛は与えるものやというフリからのあれは良かった。

唯一気になったのは、綾野剛の関西弁の80パー具合。聡実役の子は、まだクール系やからめちゃくちゃ関西人上手くなかっても別にええんやけど、狂児はバリバリの大阪の兄ちゃんやねんから、もっと関西弁ちゃんとしてて欲しい。キョウジという人として綾野剛は最適やと思う。でも、大阪人の菅田将暉やったらっていうとこが何回か過ぎってしまったからそこだけ。でも菅田将暉やと身長が足りひんのよ。綾野剛が関西人やったらなーーーって思った。
ヤクザという存在が優しすぎるのはあるかもけど、中学生に対して悪い影響だけはないであれよと思ってたから、この作品に関してはちょうど良いヤクザ感やったと思う。聡実が嫌やと言ったら無理矢理は連れていかんあの感じは、すごく良い距離感。
あと、全然ええんやで。映画の内容に関係ないから全然ええんやけど、、、エンディングの紅、リドグリかぁぁぁってなった。リトグリ自体は別に悪いことなんて一切ないんやけどさ。本家か、せめて綾野剛の紅が欲しかったかな。

エンドロール後、組長は嫌いなものを刺青掘るから、まんじゅうこわいみたいにあえて好きなものを嫌いって言うて刺青掘られる伏線を、聡実の名前が腕に掘ってる狂児で回収するのも、ちゃんとしてた。狂児はほんまにそんなことやりそうで良い。

「すみません、30分延長で。」
また次の作品レビューで、ほなッ!

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