かさま

カラオケ行こ!のかさまのネタバレレビュー・内容・結末

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作既読。実写で中学生の子どもが強面の大人たちに囲まれているのは結構生々しい怖さがあるなと思った。成田狂児はこの人懐っこさでヒモ時代もヤクザ世界も渡り歩いてきたんだろうなという実在感があり、聡実が最初は拒絶感を抱いていながらも惹かれていくさまに危うさがあった。
漫画と比べたら聡実のヤクザへの恐怖が大きく描かれていると思うが、中学生としての日常と普通の中学生ではなかなかないだろうヤクザとの付き合いを、学内で他人と話すことで相対化してるようなのは面白かった。部活に情熱的な和田は学校生活に聡実を留める人で、和田とは対照的に聡実以外の交友関係が見えず映画の世界に没入して浮世離れしているような映画を見る部の部長は、学内にいながら狂児のことを話す相手として適任だったと思う。和田は多分自分に声変わりが来たら当時の部長を思い出して反省するタイプなんじゃないかな…。
聡実と狂児の関係の移り変わりも重要だが、学内の描写が増えることで聡実の物語の側面が大きくなっていた。すべてが終わったあと狂児もスナックも幻のように消えるようになっていたのは成長期の一瞬の時期を捉えた物語の象徴のようで良かった。
原作通りではあるが狂児はあの入れ墨を入れてまた登場する。漫画読者として再会するのは嬉しいという気持ちと、聡実も高校卒業の年齢になるし反社との関係も洒落にならなくなってくるなという気持ちがある。
漫画続編のファミレス行こはそのへんの反社とのつながりの如何を描くのかなとなんとなく思っているので、いっそファミレスも映画にしてその後を描いてもいいんじゃないかと思った。まだ完結してないからどうなるかわからないが。
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