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カラオケ行こ!のYAEPINのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.1
ついこの間、『花腐し』で歌う綾野剛を観て感激していたのに、続けて『紅』を絶叫する姿を観られて非常にハッピーだ。
彼は普通に歌うま俳優なのではないか?

綾野剛と齋藤潤くんは、原作の2人の馬鹿馬鹿しくも愛らしい絆をよく表現していた。
綾野剛のぎこちない関西弁とギリギリ暑苦しくないヤクザ演技が、和山やま作品のシュールな雰囲気とよくマッチしていた。
キレると怖い薄暗さも持っているので、真正面からヤクザを演じた『ヤクザと家族』の時よりも「舐めたらアカン」雰囲気を感じる。

原作が単行本1冊分の尺であるがゆえに、映画版ではいくつかのキャラクターや設定が膨らまされていたが、それも程よいバランスで本編を引き立てていた。
合唱部のすったもんだや幽霊部員制度のある映画部など、主人公の成長期に伴う静かな憂いを滲ませながら、中学生らしい他愛もないやり取りも描かれ、オフビートな青春群像劇になっていたと思う。

漫画の映像化に伴う原作の改変については、現在社会的に議論が巻き起こっているが、今後も本作のように、当然原作を尊重しつつ、映像に適する演出が模索されていくことを願ってやまない。
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