中学男子にヤクザがカラオケ上達の教えを請うコメディ映画です。
同名の原作漫画が好きで、確かに実写向きの作品ではあるので悪いことにはなるまいがナンボのもんじゃい、ぐらいの傲った目線で見に行ったのですがすごく良い実写化になっていてすっかり満足してしまいました。まず当たり前なのに見るまで忘れていたのですが、実写ということは皆さん歌うんですよね。原作で大事な要素ながら再現できない部分なのでここだけで感激しました。アウトレイジな大御所陣のカラオケシーンは必見です。
また、原作では撚ていてやや達観して見える聡美くんですが実写となるとボーイソプラノの出る稚さがリアルになります。齋藤潤氏の微妙なお年頃の演技が絶妙で、私の中の存在しない青春の記憶が呼び起こされて終始苦しかったです。
そういうわけで三次元になると当然想像以上に聡美くんがおぼこくなるので、いきなり現れてカラオケ大会などとトンチキな理由で中学生に付き纏っては遂には名前の入れ墨入れてしまうおっさんなんてちょっと尋常じゃない怪しさを感じてしまいます。怪しいし妖しいですよね。しかしながらそこは綾野氏のビジュアルが、非日常に住むお兄さんに気に入られるという浮足立つ経験に説得力を持たせてくれます。この辺は原作の空気感が実写になってより理解しやすくなった点かなと思いました。
原作よりもややブロマンスみが強い気はしますが上記のように実写化で作品の解像度が上がったために出てきた副産物のように思います。そういう意味では萌の供給源としてもとても良い作品でした。
原作からして好きという贔屓目はありますが、ギャグ実写化にありがちなオーバーな寒さもなく青春実写化にありがちなクサさもなく、忠実ながらブラッシュアップを心がけられた良作として実に高評価です。
