ウーピーブロンズバーグ

カラオケ行こ!のウーピーブロンズバーグのレビュー・感想・評価

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)
4.3
原作は未読です。
映画館で見たかったが結局間に合わなかったものの配信に回ってきてくれたので鑑賞。
予想以上にいい作品で2日連続で鑑賞。


いまこの瞬間、1秒、また1秒と時間は過ぎていく。過ぎ去った時間は二度と戻らない。

冒頭のコンクールから、
毎年全国大会はあっても3年生になってしまったら二度と出場出来ない。
声変わりをしてしまったら二度と元の声は戻ってこない。
刺青を入れてしまったら二度と消せない。

そんな戻らない時間の一方向性を強く感じさせられました。

極め付けは「映画を見る部」。
一度再生してしまったら二度と巻き戻せない。
この映画部の存在があるからこの作品は映画であると言っても過言ではないのだろうか。

一度上映が始まったら我々鑑賞者は時間を操ることが出来ない。そこに映画の本質がある。
その映画の本質と、聡実くん(齋藤潤)の戻れない人生をシンクロさせる。
度々挿入される合唱曲や名画、「紅」
そして、
「歌に大事なのは愛」
「きれいなものだけじゃなくていい」
ももちゃん先生(芳根京子)や狂児(綾野剛)といった周囲の大人たちから人生を知る。
最後に聡実くんが歌う「紅」のなんと愛に溢れたことか。

時間の流れこそ映画であり、映画は人生である。

そう感じたとき、この映画がとても愛おしいものとなりました。傑作です。