このレビューはネタバレを含みます
面白かった…けどモヤっとが勝った作品。
中学生とヤクザのゆるめなやりとりにはクスっともするし、
声変わりを迎えた少年の魂の「紅」はグッとくる。
テンポよく分かりやすくな話運びは流石の野木さん脚本。
「部活でない」舞台での泥臭さや友情があるというアプローチも面白かった。
ただメインである「ヤクザと中学生が一緒にいる」という異常事態への違和感が払しょくできず、存分には楽しめなかったし
「部活でない」とはいえ合唱部の話は本当にそれで良かったのかという腑に落ちないポイントも大きい。
2人で初めてやって来るカラオケでの絶妙なイヤな緊張感・気まずさはすごく良かったが、そこから打ち解けていく過程が薄く、聡実くんが懐くの(というか遠慮がなくなるまで)が随分と早かった印象が大きい。
漫画であればヤクザとはいえ優しい人が多くて…みたいな話も多いが、実写だとそのファンタジーぷりは少々キツさもある。
カラオケルームで多数のヤクザに囲まれるシーン、ギャグ要素強めにしてあるが正直笑いごとじゃないぞこの状況…という不安さのほうが勝ってしまう。
(あとあの組員たち下手なヤツ多すぎて狂児べつに練習要らなくない？？という本末転倒さも感じた)
そして何より「この手」の作品はメイン2人の関係性にどこまで魅力を感じられるかで楽しめる度合いも変わってくると思うが、
個人的には先に書いた通りそのあたりの説得力や尊さをあまり感じられなかったので終始その関係の「危うさ」が先行してしまい、のめり込めなかった。
その分エンドロール後の映像で結局…というのも何だかな、と
変わっていく声、街、関係性、過ぎ去っていく「その瞬間」の友情や輝きの美しさがあると感じていたので、
結局まだ続く、というのも拍子抜け感が強い。
聡実くんの飾らない歌声で思い切りグッときたので終盤の満足度はすごく高かったものの、
あれも何で途中で普通に生きてるシーン入れるかね、、と結局モヤっとのほうが強い後味だった
