きよぼん

あぶない刑事リターンズのきよぼんのレビュー・感想・評価

あぶない刑事リターンズ(1996年製作の映画)
3.0
あぶない刑事のテレビシリーズといえば、サブタイトルは全て二字熟語でした。ドラマシリーズからのファンに言わせれば「困惑」、制作者側は「迷走」といった本作。

実際、制作者のインタビューなどを読むと、ドラマシリーズを7年ぶりに映画化するということで「あぶない刑事」のどのあたりを切り取るのか、かなり迷いがあったのだとか。

シリアス、コメディ、サスペンスなど、ドラマだと同じキャラクターでいろんな味を出せるモノの、映画は一皿しかだせない。本作ではコメディの要素を強く打ち出してきてます。が、冒頭の打ち合いの最中に横切るヘッドフォンつけた看護師だとか、ミサイルが通過した後の港署だとか、やりすぎ感に心が離れてしまいました。

感想とか読んでると、若い人には面白い!という声も少なくない。そりゃコメディだから面白いよね。面白いけどこれあぶない刑事の魅力の半分でしかないよ!と言ってしまうと、うるさいおっさんになってしまうというジレンマ。

あと違和感があるのは、時代を敏感に反映させすぎたところでしょう。大事件を起こした宗教団体モチーフとしたとみられる犯罪組織、インターネットや仮想現実、ファッション。そしてこれは制作者側とは関係ないですが、舞台となる横浜も大きく変化してます。

後からの結果論ですが、7年ぶりの新作ということで新しいモノをとりいれようとしすぎたこと、または時間がたったことの変化が、妙な違和感を生んでしまっている。「リターンズ」といえば中条静夫さん死去ということで、新たに課長役に就任した小林稔侍さんへの違和感がよくいわれます。でもこれ課長交代という目に見える形だからよくいわれるだけで、実はコメディにしすぎたことも含め、作品全体に違和感があるんですよね。そこを全部かぶせられてるような小林稔侍さんは、ちょっと不憫。

この違和感が「さらばあぶない刑事」の原点回帰につながっていくのですが…それはまた別の話。

それでもやっぱり、あぶない刑事はあぶない刑事。楽しめますけどね。
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