テリヤキ

キラーカブトガニのテリヤキのネタバレレビュー・内容・結末

キラーカブトガニ(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ハイ出ました今年ベスト。

なんてバカ愛しくて優しい映画なんだろう。

観たのはちょっと前なんですがこれはちゃんと記録に残さないとね。
お客さんは自分含め8人だったけど観終わった後みんなで飲みに行きたかった、エンディング後には謎の一体感がありましたよ。

大手シネコンはなぜこの映画を上映しなかったのか。
いや〜おバカ映画でしたね、いい意味で。

勢いでパンフレットまで買ったんですけど監督のインタビューがまた面白い!

「生のカブトガニは撮影には不向きですね。やはり450億年前から生きている生物と意思疎通を図ることは難しく、言語の壁が立ちはだかりました」

こういった映画を作る人はやっぱどこかぶっ飛んでますね、いい意味で。


まぁお話としてはよくあるモンスターパニック物です。
主人公達の田舎町での日常パートがあって〜の、街の外で変死体が発見されて〜の、異変がジワジワと迫ってきて〜の、そしてついに、、、みたいな感じで。


ただですね、個人的には正直ダブルヘッドジョーズだったりシャークネードとかのサメパニック映画はあんまり好きじゃないんです。B級ゾンビも。
友達とお酒飲みながら観る、とかだったら楽しいけど、どうせ観るなら低予算だけどめちゃくちゃ工夫してあったりストーリーが考えられている映画を観たいと思っていて。だから他人のレビューとかめちゃくちゃ観るんですが。


はい、長くなりました。
が、安心してください。
この映画、若手俳優陣がめちゃくちゃ輝いています。
全員初めて観る方でしたが若手俳優陣が非常に魅力的に撮られています。


主人公は車椅子の青年フィリップ。
彼女のマディをプロムに誘うために歩行補助装置を開発している。
フィリップには兄ハンターがいて冴えない警官をしている。ハンターは警官ですが勤務中ゲームしてサボっています、このゲームに少し映る映像が一応伏線になっています、何じゃそりゃと思うかもしれませんがそうなんです。
マディの母親アナリスは学校の先生をしていて元教え子のハンターといい感じになってくる。
同級生のラドゥはいち早く街の異変に気づくが誰にも信用されない。


まぁこれだけ書くとありきたりな設定なのかもしれませんが日常パートがとても丁寧に作られています。



例えばお兄さんと先生がトレーラー内でマリファナを吸いながらアルバム一緒に観るところ。
「あなた昔はかなりイケイケだったのになぜこの街を出ていかなかったの?」
先生のこのセリフに何も返さないハンター。そのシーンで弟のために街に残ったことが伺えます。


フィリップとマディのプロムシーンも素敵でとても優しいシーンでした。
歩行装置をつけたフィリップが初めて車椅子から降りてマディと対面します。

いつも主人公を見下ろしていたマディは初めて目線を上に上げる。
見つめ合う二人。
マディ「・・・背、高いんだね」
フィリップ「・・・うん」
このシーンちょっとウルッときました。


映画の中盤に主人公が覚醒してカブトガニに対してある作戦を思い付きます。
でも兄ハンターは警察に一度戻ると言う。

フィリップ「待って。僕には助けがいる」
ハンター「いや、もう要らないさ」
兄弟愛ですね、ここでもちょいウル。


といった感じにですね、主人公たちの会話や表情といったシーンが割と多めに撮られていましたので、合わない人もいるかもしれませんがドラマパートがとても良かったです。

まぁ最後はいろいろあって巨大ロボが出ますけどオススメの一本!


ちなみに劇場を出るとスタッフさんがダンボールで作ったカブトガニルンバを放してきて思わず笑ってしまいました。
他のお客さんも笑ってました、それを見てスタッフも笑っていました。
そして私はパンフレットを買いました。
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