延々と歩く

ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブルの延々と歩くのレビュー・感想・評価

2.9
 一発逆転をねらうポンコツ怪盗団が、スウェーデン・フィンランド間の歴史に絡む秘宝を追ううち国家的陰謀にまきこまれるクライムコメディ。監督はスウェーデン出身で「ぼくのエリ 200歳の少女」「裏切りのサーカス」を手がけたトーマス・アルフレッドソン。

 スウェーデンで80年代に大ヒットし国民的人気を得たというシリーズを母国に戻ったアルフレッドソン監督が新たなキャストと共に復活させた…ということらしい。

 あの激渋スパイ映画「裏切りの…」のアルフレッドソン氏がコメディときいてチェックしてみた。監督自身の故郷を想う気持ちが感じられたのは良かったと思う。

 とはいえ「地方テレビ局の特別企画」っぽさが濃厚だが。お葬式かなんかで親の地元に里帰りして暇つぶしにテレビつけてみた時の雰囲気にすごい近い。主役がスウェーデンで大人気のタレントさんらしく脇役に同国のベテランたちをかき集めてる感じもその印象に拍車をかける。

 演出も特に序盤では気になって、普通に撮影された映像を後からやっすい編集ソフトでズームしたりスライドさせたりみたいな箇所が連発して、いったいこの感覚は何だと言いたくなる。主人公たちが乗り込むミニバンをミニチュアみたいに見せてると思ったら別にそれで統一してるわけでもないし…監督がスゲエ変な人なのか単にそこまで気にしてない・やる気がないのか判然としない。

 「ぐるりのこと。」「恋人たち」を監督した橋口亮輔さんが「ヨーロッパで成功しハリウッドに進出した監督が、アメリカの商業主義の中で心を折られてしまったら地元に戻ってもつまらない映画しか撮れない」みたいなことを語っていて、アルフレッドソン監督はどうなのかなと考えてしまった。前作「スノーマン 雪闇の殺人鬼」は全然アカンかったとの評判だし、大丈夫なんだろうか。
延々と歩く

延々と歩く