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ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブルのSPNminacoのレビュー・感想・評価

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傑作『ぼくのエリ』『裏切りのサーカス』のトーマス・アルフレッドソン監督が、どうしてこうなった?な『スノーマン 雪闇の殺人鬼』を経て母国スウェーデンで撮った新作はなんとコメディ。ちょっと間抜けな強盗団が挑む秘宝強奪作戦…なんだけど、軽妙洒脱とは言い難い。
自称プロの懲りない金庫破りシッカン、仲間たちとその大家族、博物館、フィンランドの歴史的政治的に重要な伝説、お宝の守護者たち、貴族と暗躍する黒幕、昔仲間(レナ・オリン!)…登場人物多すぎ。情報量多すぎ。ややスパイ合戦みたいなところもあり、そういや『スノーマン』もやたら情報盛り沢山だった。そして、ローテクアナログなガジェットとおっさんへの偏愛も共通。てことは、コメディでもむしろトーマス・アルフレッドソンとしては通常運転なのかも(原案があるらしいが)。
ごちゃごちゃしたプロットと画面の物量が渋滞して退屈。懐メロを使った作戦もイマイチ垢抜けず。けど、特権階級と富を独占する大企業が抱く「君主制よもう一度」の夢を砕き、貧者が一発逆転の夢を叶えるお伽噺には、このもっさりとノスタルジックなルックであるべきなんだろう。民主主義と富の分配はペールグリーンの甘いキャンディ、夏至の夜の夢。優しいエンディングは良かった。
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