春とヒコーキ土岡哲朗

FALL/フォールの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

FALL/フォール(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ずっと気が抜けなくて、見終わったらどっと疲れていた。
 
緊張しっぱなしでへとへとに。二人の人間が高い塔に登って、ハシゴが落ちて下りられなくなる話。シンプルで、ポスターを見ただけでどんな映画かはっきり分かる。そして、苦難の数も多く、ベッキーが太陽に近いところで肌がボロボロになっていく様も痛々しく、ケガのグロさもあり、見ていてずっと緊張しっぱなしだった。登って下りられない状態になるまでがやや長い気がしたけど、その時間が懐かしくなるくらいずっときつかった。充電のために電球まで登って耐える時間はこっちも忍耐を消耗。デンジャーDが落ちそうになるところがピークで疲れた。とにかく体験させられる映画。

前半でたくさんフリがされていた。デンジャーDがソケットから盗電したシーンが、後にドローンを充電するヒントになっている。と同時に、デンジャーDがズルをする人間だということも分かり、ベッキーの夫と浮気していたことに納得がいくキャラ付けになっている。また、最初にトラックとぶつかりかけたのも、デンジャーDの不注意なキャラクターを印象付けながら、終盤でドローンがトラックとぶつかってしまうフリになっている。もしそれがなく突然ドローンがトラックとぶつかっていたら、強引に苦難を用意しただけに見えたかもしれない。
デンジャーDが本当は途中で死んでいたのも、ベッキーがデンジャーDを死んでいる夢を見たのがフックになっていて上手い。よくある「仲間が死んだ光景を見たら夢だった」のシーンかと思ったら、その時点で本当にデンジャーDは死んでいて、それを受け入れられないが実際は知っているベッキーが、彼女の死を夢に反映していた、ということ。

苦労してやったことが失敗する、の連続なのに、成立している気がする。『最後のジェダイ』はあんなに叩かれたのに。脱出に向けて色々試す話だから、その中のいくつかが失敗に終わっても、そういう話だからいいのか。失敗した作戦の中から解決につながったから、いろいろやったのも無駄じゃない感が出ているのもある。『最後のジェダイ』は、フィンもポーもミッション自体がそもそもやるべきじゃなかったという結論だった。失敗から修正するでもなく、失敗したあとは年長者任せの展開で、フィンとポーは『最後のジェダイ』では「失敗を体験する」だけ過ぎたのかもしれない。