程度の差はあれど、高所で不安や恐怖心をまったく感じない人は稀だと思います。一般的なホラーの場合、何に恐怖心や嫌悪感を覚えるかは個人差がありますが、高所の場合はさほどブレがないように思います。
普遍的な恐怖心にアプローチしている時点で本作は成功していると言えます。VFXも自然で、水を差されることなく恐怖疑似体験を満喫？しました。
ここからはやや苦言です。最愛の恋人を亡くし閉じこもり状態の主人公を励まそうと親友が気分転換に電波塔クライムに誘うわけですが、クライミング経験者である親友同士なのに、あまりに備えが稚拙ではないかと思います。電波塔の頂点付近で夜を明かすシーンがありましたが、あまりに薄着です。砂漠性の気候で600mの高所ですよ、低体温症になり生きてはいられません。あと、親友から主人公はその恋人との不貞行為を聞かされるのですが、主人公はあっさり赦した風です。生きるか死ぬかの瀬戸際なので怒ったり恨んだりしていられないにせよ、そんなに簡単に割り切れますかね。
あれこれ文句言いましたが、始終手に汗握る、足がムズムズする怖い映画ではありました。YouTubeなどで、実際に安全装備なしで数百メートルの電波塔に登る動画が見られます。やめましょう、危ないですから。
（2023年 U-NEXTで鑑賞）
