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THE WITCH/魔女 —増殖—のmaverickのレビュー・感想・評価

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)
4.3
2022年公開の韓国映画。2018年公開の映画『The Witch 魔女』の続編で、前作に引き続き、パク・フンジョンが脚本と監督を担当した。


待望の続編。世界観や演出に度肝を抜いた前作同様、本作の衝撃度も半端ない。前作の続きでありながら、主人公を新たに据えて別側面から物語が展開するのも面白い。少女と組織との構図だけでなく、様々に絡み合った関係性にぞくぞくさせられる。全体的に不穏で悲しみを帯びた作品性でありながらユニークさも盛り込むなど、人間ドラマでじっくり見せる手法は健在だ。戦闘シーンの迫力も言わずもがな。アジアンホラーの不気味さをシンクロさせた見事な作りである。

前作で主人公を演じたキム・ダミから一転。本作の主人公を演じるのは、同じくオーディションで選ばれた新人のシン・シア。1408人の中から選ばれたという逸材だ。最強の魔女と呼ぶに相応しい存在感。そう見えるのは演出の助けもあるだろうが、牧場で暮らす姉弟との交流で見せる無邪気な姿など、本作が長編映画デビューとは思えない堂々とした演技力に驚かされる。初めて見るものに興味津々で目をくりくりさせたり、食欲旺盛な食べっぷりなど愛嬌もたっぷり。ぞっとする怖さもありながら、そうした守ってあげたくなる愛らしさを兼ね備えるなど、ヒロインとしての魅力は十分すぎるほどであった。

ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』のパク・ウンビン、韓国版『リーガル・ハイ』のソ・ウンス、『V.I.P. 修羅の獣たち』のイ・ジョンソクなど、若手実力派キャストが多数出演しているのも本作の大きな魅力。土偶と呼ばれる4人の能力者を演じた面々もそれぞれに印象的。そして前作主人公のキム・ダミの圧倒的存在感。あれから4年経ち、貫禄が凄まじい。キャリアは浅くとも、ここまでの凄味を出せることに驚く。彼女が類いまれなる才能の持ち主であることを改めて痛感した。

ヤクザのボスを演じたチン・グの屑っぷりも様になっていた。胸糞悪い話であるからこそ、主人公がそれを叩きめす様にスカッとさせられる。現実に彼女のような味方がいれば、どれだけ心強いことだろう。


間違いなく続きがあるよね。三部作の構想なのかな?めっちゃ楽しみ。コロナ禍でイマイチ客足が伸びなかった(それでも280万人)が、次は1000万人越えも有り得そう。大いに期待したい。
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