MrOwl

イコライザー THE FINALのMrOwlのレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
4.3
元海兵隊員で国防情報局(DIA)の凄腕の特殊工作員であったロバート・マッコールが、関わった人、気になった人を助けるためにその技能を存分に発揮し悪人を倒す痛快アクション映画です。ファンにとっては「倒してくれる」という感覚が強いですね笑。イコライザーシリーズは、アントワーン・フークア監督、デンゼル・ワシントン主演ということもあり、痛快アクション映画、というだけでなくロバート・マッコールの悲哀、哀愁、怒り、そして「自分は何者なのか」という自他からの問いを考え続けるという、人間的な深みを感じる作品です。
アントワーン・フークア監督は「トレーニング・デイ」「ザ・シューター/極大射程」「クロッシング」「エンド・オブ・ホワイトハウス」「サウスポー」など、自分好みの良作を生み出してくれる大好きな監督です。Amazonオリジナルドラマのターミナル・リストも、シリアスなクリス・プラット(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、ジュラシックワールドなどで主演)が魅力的な作品です。デンゼル・ワシントンとはトレーニング・デイでもコンビを組んでいますね。本作では、マイ・ボディガードでデンゼル・ワシントンと共演したダコタ・ファニングも時を経て共演しています。マイ・ボディガードも好きな映画の一つなので、この共演は胸が熱くなりました。あの時デンゼル・ワシントンに身を挺して守られた8歳の少女が、本作はCIAの局員として、デンゼル・ワシントンとある種共闘するという(ストーリー的にマイ・ボディガードとは繋がってないんですけどね)。そして、唐突にも思えるこのダコタ・ファニング演じるCIA局員の登場にも、サイドストーリーがありました。イコライザーシリーズは、このサイドストーリーも良いですよね。1作目は歌手を夢見ながらも夜の仕事に囚われているアリーナ(クロエ・グレース・モレッツ)や、マッコールの働くホームマートで警備員を目指すラルフィ、2作目はLyft(配車サービス)のドライバーをしているマッコールの車に乗る人々、中でもユダヤ人強制収容所を生き延び、姉のマグダを探し続けるサムおじいさん、マッコールのアパートのファーティマさん、絵描きになりたいけど悪い連中とつるんでしまうマイルズ君など、マッコールの物語と共に、彼らの物語も進んでいくのがとても良いんですよね。本作は舞台がイタリアのシチリア島から始まり、歴史ある南イタリアの静かな田舎町や発展した都市のナポリが舞台になります。歴史ある田舎町の人々との交流を通じて、自分の居場所とも感じられるようになった街。そんな街にナポリのマフィアの魔の手が忍び寄ってきます。街の人々のためにマッコールの「仕事」が始まるのですが、シチリアでの事件やダコタ・ファニング演じる女性CIA局員の追う事件とも絡み合っていき、思いのほか規模が大きく、複雑な事件の全容が浮かび上がってきます。脚本も秀逸ですね。そして本作のサイドストーリーもまた、ファイナルにふさわしいものでした。良い映画でした。
MrOwl

MrOwl