KOTAYOSHIDA

イコライザー THE FINALのKOTAYOSHIDAのネタバレレビュー・内容・結末

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

シリーズ最終章、観ている最中は"これが最終章で良いのか...前2作と全然違うけど..."といったような個人的な戸惑いがあり、しかしながら観終わる頃にはこれが最終章であることが納得の上で腑に落ちる、そんな作品だった。少なくとも自分にとって本作は前2作のように「マッコールさーーーーーん!!!やっちゃってくださーーーーーい!!」的な盛り上がり方はできず、ただただマッコールさんという人間の人生に想いを馳せるような、そんな内容であったように思える。

イコライザー最大の見所である、普段はぼんくらな善人のように見えるおじさんが実は最強の元特殊工作員で、悪党を残らず血祭りにあげる瞬殺アクションだが、本作は前2作のようなジャンル映画的なお祭り感はほぼ無く、ただただ陰惨で残忍に描かれる。夜の街で突然悪党を襲う暴力、そしてその根源たるマッコールの姿はブギーマン的であるし、一連のアクションシークエンスはホラーと言っても過言ではない。本当に怖い。アクションシーンとは言え、それを魅せるような演出はせず、ただ殺すだけ、本当にただ殺すだけ。それが怖い。夜道であの小悪党を瞬殺した後に、死に絶えたそいつの顔を凝視するあのショット、怖すぎて震え上がってしまった。

マッコールのブギーマンっぷりはクライマックスでもそのまま引き継がれていて、「いよっ!待ってました!最後の断罪シークエンス!」という期待を裏切るかのような陰惨で暗い展開。本作のマッコールは文字通り、ただ殺すだけなのだ。いやそれはシリーズ通して変わっていないんだけど、本作の殺しは本当に地味。マッコールが歩けば、そこにいる悪党どもがバタバタと死んでいくような、そんな死神を思わせる怖さがあった。特に本作の大ボスであるマフィアのボスにドラッグをオーバードーズさせ、苦しむあいつの後ろをただただ付いていくだけのあのシークエンスの怖さ、死を齎すもの、死神としての怖さが十二分に描かれていて、下手な殺戮シーンの100倍は怖かったように思える。

死に愛され、死を齎す者として孤独に生きていたマッコールが辿り着いた、贖罪と救済の地。これからの余生を彼がどう生きるかは分からないけど、彼のこれからの人生に穏やかなものでありますようにとそっと祈るような幕引きに、良い映画をみたなという余韻が今でも残っている。

邦題はFINALとあるが、4もあるとかないとか。4はジョン・デヴィッド・ワシントンが主演だとかそうではないとか。色々あるらしいが、それはそれで面白そうではあるので期待。
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