名もなき技術者

イコライザー THE FINALの名もなき技術者のレビュー・感想・評価

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)
4.5
元CIA捜査官のロバート・マッコールが、イタリアのマフィア組織と対決する作品。
アメコミ作品において人気が高いバットマンは、正義の心を持って悪を制すが、それは法律にのっとっていない「私刑」である。また、バットマンは幼いころにコウモリから恐怖を感じた経験があり、その経験をもとに、犯罪者に恐怖を感じさせることを目的としてコウモリのコスチュームをまとっている。
「私刑」をする姿は依然と同じであるが、本作のマッコールは、犯罪者に恐怖を与える存在として演出されており、バットマン的存在だと感じた。
最初のシーンは、麻薬密輸組織のドンとその孫からマッコールを見た視点で描かれており、マッコールに対する恐怖が伝わってきた。加えて、マッコールの行為は本当に正しいのかということを観客にも感じさせていた。その他のマッコールが「私刑」を行う場面でも、マッコールの恐怖を感じさせる演出がされていた。
この演出によって、自分の暴力性に困惑するマッコールの姿を、観客が納得できるようにしているのが上手いと感じた。その上で、『国家権力ではない一個人が行う「私刑」によって悪人を成敗する存在であるマッコールは本当に正しいのか。悪人にも家族はいて、悪人が無くなって悲しむ人もいる。そういう考えは生まれたが、やはり周囲に迷惑をかける悪人は倒さねばならない』という流れにうまく持って行っている。
また、美しいイタリアの風景も非常に印象的だった。