というわけで明けまして。
正月なんでウルトラハッピーな戦前日本映画を。
前回の「鴛鴦歌合戦」のさらに4年前。つまり1935年の作品なのよ。まだ2・26事件すら起きてないの。そんな日本映画はテンポの早い「あれ、これスクリューボールコメディじゃねえ」って思わせる映画を作っていたの。
ただ少しだけ弱点があって昔の作品だからだろうか、大河内伝次郎が大根だからだろうか(失礼)どうにも声が聞き取りずらい。劇伴なんかかかっていると何言っているかわからない。そこだけは僕はダメでした。
でもそれ以外はブラボー。とにかく笑える。にやにやする。それも昨今の「言葉で笑わせる」映画でなく「画」で笑わせる映画なのよ。だから集中してないと全くおかしくない(コメディ見たのに結構へとへと)。笑う「間」なんか山中貞夫は無視なんでぐいぐいとコントを持ってくる。でもそれこそ「映画」じゃねえって観ていて思ってしまった。
好きなシーン
・何回撃っても的に当たらない矢
・闘っているときに「負けてくれ」って小声でささやく
・鼻の油つけて金魚釣り
・奥方いつもぷいっと横を向く
・最後の的が巨大
決して説明しない映画なんでそこ見つけたときにニヤニヤ。クスクス。ゲラゲラ。いや素敵ですよ。嬉しいですよ。笑いはこうでないといけないよねって思う。
以前芸人が言っていたけど「書かれた」おかしさと「話された」おかしさは違うのよってセリフがあったんだけど、それを換骨脱胎するなら「映された」おかしさも違うわけだと思う。だから松本の映画はつまらないんだとしみじみ感じながら見てしまった。この映画は「映された」もののおかしさなんだよ。
まだ観てない人いたらぜひどうぞ。今回は「笑い」でレビュー書いたけど、笑いだけでなくアクションも感涙も(それでいてウエットでないのが素敵)サスペンスもある(サスペンスのときの大河内伝次郎の恰好いいこと!)。映像は古いのに昨今の映画より「映画」が詰まっている。「見る」という娯楽が少ない時代だからこそ「見る」楽しさをふんだんに取り入れている作品である。