このレビューはネタバレを含みます
【 ボーダーレス万歳 】
窪塚洋介さんのカリスマ性は天性のものだと思う。オーラ・雰囲気が際立っている。本作においてはその思想や発言の切れ味が凄まじい。時には冷静に淡々と語りかけ、時には情熱的に熱く叫ぶ。若者の“くせに”、どちらの言葉にはズッシリと重みがある。
コリアン味がコテコテに醸し出されているのが素晴らしかった。本当に、日本とは違う匂いがするんだ。
家庭での家族のやり取りや、親父との公園での決闘など、生臭さもたまらない。決闘は間違いなく名シーンで、タクシードライバー(大杉漣さん)のレフェリー付き。後はもう、何もいらないでしょう。
終盤のお巡りさんもすごくよかった。テキトーで型破りだけれども、ちゃんと市民に寄り添ってた。色眼鏡かけずに。
「在日」と差別され続け、不遇な思いをしてきた杉原。国境、人種、思想、「そんなのくっだらねぇ」というあの熱き魂は、間違いなく差別解消に一矢報いるものになると思う。この先まったく色褪せることなく。
愛国心はあれど、それが対立の要因になってはならない。時代はボーダーレスである。