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いつか、いつも……いつまでも。のnanonononのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

最初コメディかと思った。
愛嬌たっぷりな人物達のドタバタ劇に、笑いを堪えられず、試写会会場はドッと笑いが起きていたので、同じく思う存分笑った。このテンションについていけるかな?と一抹の不安がよぎったが、主人公俊英(としひで)の過去の好きだった人が目の前にいる?という謎や、二世帯住宅なのに一人暮らしの謎が、うまく絡まってきて話にどんどん引き込まれていった。恋愛モノの先入観を心地良く裏切る面白さだった。

ボケとツッコミ担当のお爺ちゃん( #石橋蓮司 )と、家政婦のキヨさん( #芹川藍 )が良い味を出していて、食卓に並ぶ色とりどりの美味しそうな食事も、準主役の存在感だと思った。そして何より強烈な叔母さん( #水島かおり )がこの作品のムードメーカー、かつムードチェンジャーとして大活躍だった。
老若男女、多世代の家族で食事を囲む風景は、上の世代には懐かしく、下の世代には経験した事のない人も居るのではないか。私にはとても懐かしく、食事を家族で囲み、機嫌の良い時も悪い時も顔を合わせなければいけなかったあの時間が、かけがえのないものだったなぁと郷愁に近い感覚になった。
ラブ要素として、振り回してくるヒロイン亜子(あこ)の人物像は、現実に居たら、かなりめんどくさくて共感は持ち難いと感じたが、#関水渚 さんの純粋な愛らしさが、キツさを緩和しており、とても可愛らしくて子犬の様だった。
医師の俊英は、闇を抱えた物静かな青年が巻き込まれて変化していく様子を #高杉真宙 さんが納得の演技力で魅せてくる。
ビジュアルの美しさが俊英の冷たさを際立たせる時もあれば、巻き込まれて慌てる様子は可愛らしく、親近感が湧く人物だった。関水さんも高杉さんも、大きな瞳が大写しになり、揺らぐ気持ちを表現する眼差しがとても美しかった。
婚約者との関係は、恋人がいた事のある人なら誰しも感じた事があるのではないか。別れるのはいつだって大変だ。乗り込んでくるまり子( #小野ゆり子 )側だったり、俊英側だったり、自分の恋愛体験を想起させるエピソードに胸が痛んだ。
最後のエンディング、海と青空との爽やかな青色に包まれる風景が、これからの二人を予感させる。きっとこれまでの様に美味しい食事を囲む家庭を築いていくのだろうと思うと、とても幸福な気持ちに包まれた。

エンドロールの竹内まりやの曲の歌詞が…さりげなくエロいなぁと思う。二人の未来だとしたら、とても悶える瞬間だった。

マイナス0.5の理由は、叔母さんから始まるさまざまなドタバタが、この映画の面白みであると同時に、そういう人間関係を知らなくて面食らう人も居ると感じたからだ。昔はあちこちにいたお節介おばさんは、今や絶滅危惧種だ。そのリアリティの無さにマイナスをつけた。
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