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マチルダ・ザ・ミュージカルのumisodachiのレビュー・感想・評価

4.4


ロアルド・ダール原作の「マチルダは小さな大天才」をミュージカル化した『Matilda the Musical』の映画化作品。


【ストーリー】
本を読むことが大好きな天才少女マチルダ。自分勝手で思いやりのない両親はテレビ番組や儲け話に熱中してばかりで、マチルダの才能に気づくことはない。やがてマチルダは小学校に入学するが、そこは乱暴で意地悪なトランチブル校長が子どもたちを恐怖で支配する場所だった。マチルダは酷い目に遭わされながらも、優しい先生ミス・ハニーや友人たちに支えられて自らの運命を切りひらいていく。(映画.comより引用)

2時間ほどの映像にまとめるにあたっては、舞台版からなにかを削らないといけないわけだが、このNETFLIX版が削ったのはマチルダの家族の描写だった。まず兄が消えているのと、彼らのミュージカルナンバーがなくなっている。また、彼らのピンチをマチルダが救うという終盤の展開も消滅。かなり勢いよく全カットした上で、一言だけのセリフでなんとかストーリー上は家族の存在にオチをつけている。

反対に、マチルダが語る物語の部分は映像ならではの広げ方をしていて、『ビッグフィッシュ』みたいな雰囲気を醸し出している。舞台では子どもたちをはじめとする学校シーンのエネルギーが強烈だったわけだが、NETFLIX版はもっとティム・バートン映画風のダーク目ファンタジーなテイストになっていた。

結論として、舞台版とは別の作品として楽しむのが正解だと感じた。というのも、この映画版はこれはこれでなかなか良いから。虐待加害者が複数出てくる陰惨なストーリーでありながら、仕返し上等で怒り狂うマチルダや子どもたちのパワーにスカッとできるのが魅力なわけだが、エマ・トンプソン演じるミス・トランチブル校長の憎々しさも相まってグイグイ見せる。

「こんな学校、普通の親なら通わせないだろ」というくらい極端にデフォルメされた監獄のような学校の作りこみも楽しい。既視感があるのがむしろ良い。マチルダの想像の世界と現実、過去と現在とあっちこっちに飛ぶ構成も不穏で良い。あと、パフォーマンスのクオリティもかなり良い。

年末年始の楽しみに、ぜひぜひ。

あと、2022年の映画マイベスト10を載っけておきます↓

1位 ウエストサイドストーリー
2位 FLEE
3位 セイントフランシス
4位 わたしは最悪
5位 あなたの顔の前に
6位 MEMORIA
7位 スペンサー
8位 こころの通訳者たち
9位 THEFIRSTSLUMDUNK
10位 NOPE







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