映像は綺麗だし、撮り方や演出は現代風で見やすいかもしれないが、全ての感情や想い、関係性を画面のこちら側に語りかけてくるのがくどい。そして言葉も雰囲気も全体的に軽い。
それから、キャラクターとストーリーがミスマッチ。
特にアン。この映画のアンはどう考えても説得されるような性格じゃない。
「説得」のアンは、慎み深く、穏やかで、優しくて、寡黙で、自分のことよりも相手を尊重して行動する、だから自分の思いを強く主張できない時がある…そういう女性像。
少なくとも「妹の夫は結婚する前に私にプロポーズしてた」みたいなことを食事の席で軽々しく口にするような人ではない。
それからこの作品に限らずだけど、時代背景にそぐわない多様性を取り入れるのはどうなんだろうか…。
ジェーンオースティンが生きて作品を描いた、この時代のありのままを映像化してほしい。
ということで総合的に見て、サリー・ホーキンス主演の「説きふせられて」のほうが個人的に好きかな。